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アスファルト防水の上にウレタン防水はできる?保護・露出別の条件と工法

ビルやマンションの屋上の防水がアスファルト防水で、そろそろ改修を考えるとき、「今の防水を撤去せずに、上からウレタン防水を塗れないか」というご相談をいただきます。撤去を減らせれば、廃材や工事中の音を抑えやすくなります。重ねられるかどうかは、既存のアスファルト防水が「保護防水」か「露出防水」かで、考え方が大きく変わります。

この記事では、既存がアスファルト防水の屋上にウレタン防水を重ねる場合について、国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書(令和7年版)の規定、保護防水と露出防水の見分け方、重ねられる条件、それぞれの工程、ほかの工法との比較、費用の決まり方を、八王子市内の当社の現場写真とあわせて解説します。

先に結論をまとめます。

  • 既存が押えコンクリートで覆われた「保護アスファルト防水」なら、押えコンクリートと防水層を残してウレタン防水を新設する「P0X工法」が国交省の改修標準仕様書に定められています。特記がなければ、新しい防水層は通気緩衝工法(種別X-1)です
  • ルーフィングが表面に出ている「露出アスファルト防水」の上にウレタンを新設する工法は、仕様書の改修工法の表にはありません。重ねる場合は、ウレタン防水材メーカーが既存アスファルト防水用に定めた仕様と、現地での既存層の確認で判断します
  • どちらも、押えコンクリートの大きな浮きや下地の水分、既存層の膨れ・破断の広がり、続いている雨漏りがあるときは、そのまま重ねず、原因の確認や撤去する工法と比べます
  • 費用は、塗る面積に加えて、伸縮目地の処理、下地の補修、立上りとドレン回りの撤去・処理、脱気筒の数で決まります。見積書ではこれらが別の項目で書かれるため、含まれる作業を確認すると比べやすくなります
目次

結論:保護防水は仕様書の「P0X工法」、露出防水はメーカーの仕様で判断

国交省の公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版は、3章「防水改修工事」の表3.1.1で、既存の防水の種類と、撤去するかどうかの組み合わせごとに改修工法を定めています。既存のアスファルト防水は、保護アスファルト防水(記号P)と、露出アスファルト・改質アスファルト防水(記号M)に分かれます。

このうち、既存のアスファルト防水を残してウレタン防水を新設する工法が表に載っているのは、保護防水の「P0X工法」だけです。露出防水を残す工法(M4)として表にあるのは、改質アスファルトシート・アスファルト防水・合成高分子系シートを重ねるもので、ウレタンを重ねる区分はありません。保護と露出で、重ねるときの扱いを整理すると次のとおりです。

項目保護アスファルト防水(押えコンクリート)露出アスファルト防水
仕様書の工法P0X工法(保護層・防水層とも撤去せず、ウレタン塗膜防水を新設)ウレタンを新設する区分はない。露出防水を残す工法はM4AS・M4ASI・M4C・M4DI・M4S・M4SI
新しい防水層の種別特記がなければ種別X-1(絶縁工法=通気緩衝工法)メーカーの仕様による
平場の既存の処理ケレン・清掃、ひび割れはポリマーセメントモルタル等で補修、欠損・ぜい弱部の補修、既存目地の処理、部分的な水はけ不良の補修メーカーの仕様による(砂・汚れの除去、膨れ・浮きの再接着、下地調整材で平らにする など)
立上り部等既存の保護層・防水層を撤去する(撤去しない場合は特記。防水層の下地は主材料の製造所の仕様による)メーカーの仕様による(原則撤去とする資料がある)
ルーフドレン回り改修用ドレンを設けない場合は、ドレン端部から500mm程度まで保護層を四角形に撤去。改修用ドレンを設ける場合は特記メーカーの仕様による
出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」表3.1.1・3.2.3(オ)・3.2.5(3)・3.2.6(4)(エ)・3.6.3(1)・3.6.4(1)(要約)。露出防水の欄のメーカー仕様の例は、下の「露出アスファルト防水の上に重ねる場合」で紹介

公共工事の仕様書は民間の建物にそのまま適用されるものではありませんが、どこまで残し、どこを撤去・補修してから重ねるかの基準として参考になります。P0X・M4ASといった工法名の記号の読み方と、アスファルト防水を撤去する工法も含めた全体の整理は「アスファルト防水とは」で解説しています。

既存が保護防水か露出防水かを見分ける

アスファルト防水の上にウレタンを重ねる検討は、既存がどちらのタイプかを確かめることから始まります。保護防水は、アスファルト防水層の上にコンクリートを打って防水層を守るつくりで、屋上を歩いて見えるのはコンクリートの床です。露出防水は、アスファルトルーフィングが表面に出ているつくりです。

既存の防水現地で見る手がかりウレタンを重ねるときの考え方
保護アスファルト防水床がコンクリートで、伸縮目地が格子状に入っている。防水層はコンクリートの下に隠れている押えコンクリートを下地として使う。伸縮目地の処理と、コンクリートの下に残る水分への対応が要点
露出アスファルト防水ルーフィングの重ね目が直線で並ぶ。表面に砂が付いたもの(砂付ルーフィング)や、表面に塗装をしたものがある既存のルーフィングを下地として使う。砂・膨れ・継目の処理と、アスファルト成分が新しい層に与える影響への対応が要点
ウレタン防水・シート防水継ぎ目のない塗膜、または一定の幅のシートの継ぎ目アスファルト防水とは別の考え方になる(別記事・下記)
現地で見る手がかりの一般的な整理。表面の仕上げ塗装などで見た目だけでは決めきれないことがあるため、竣工図書や前回の工事の見積書・保証書を確認し、必要に応じて一部を切開して層の重なりを確かめる

床がコンクリートで、目地が線状に入っているのが保護防水の見た目の特徴です(押えコンクリートの床と目地の様子は、下の「伸縮目地の処理」の写真で確認できます)。既存がウレタン防水の場合は「ウレタン防水の上にウレタン防水できる?」、シート防水の場合は「シート防水の上にウレタン防水できる?」をご覧ください。

重ねられる状態・重ねられない状態|確認の順番

保護か露出かが分かったら、既存層が新しい防水層の「下地」として使える状態かを確かめます。仕様書も、撤去しない工法では既存層の傷んだ部分を補修してから防水層を新設するとしています。現地では、次の順番で確認していきます。

八王子 図解 既存がアスファルト防水の屋上でウレタン防水を重ねられるかを確認する順番 保護防水と露出防水の分かれ道
図解:既存がアスファルト防水の屋上で、ウレタンを重ねられるかを確認する順番(当社の整理による模式図)
確認すること重ねられる目安そのままでは重ねられない状態と対応
雨漏り室内への漏水がない、または入口が特定できている漏水が続いているときは、先に水の入口を調べる。防水層以外(ドレン回り・立上りの端部・笠木など)が入口のこともある
押えコンクリートの浮き・ひび割れ(保護)ひび割れや欠損が部分的で、補修できる浮きや欠損が広い範囲にあるときは、押えコンクリートを撤去する工法と比べる
下地の水分(保護)水分が残っていても、通気緩衝工法で逃がせる程度押えコンクリートの下に水が多く残っているときは、原因の確認と撤去を含めて検討する
既存層の膨れ・浮き・破断(露出)なし、または部分的で、切開・再接着で直せる屋上全体に広がっているときは、撤去する工法やほかの重ね方と比べる
水たまり・勾配部分的な水はけ不良を補修で直せる勾配そのものが悪いときは、重ねても水たまりは残りやすい。補修の範囲を事前に決める
立上り・ドレン回り撤去・処理の範囲を決められる立上りの傷みや、ドレンの損傷・腐食があるときは、改修用ドレンの取り付けなどを見積に入れる
当社の整理。仕様書では、部分的な水はけ不良はポリマーセメントモルタルで補修し、勾配不良は協議するとされている(3.2.6)。実際の判断は現地の状態と、使う防水材メーカーの仕様による

保護防水では、押えコンクリートの下の防水層を直接見ることはできません。そのため、雨漏りの有無、押えコンクリートの浮きやひび割れ、ドレン回りの傷み方、建物にかかる重さを手がかりに、残して使えるかを判断します。露出防水では、既存層そのものを目で見て、膨れや継目のはがれがどこまで広がっているかを確かめます。

保護防水(押えコンクリート)の上に重ねる場合

押えコンクリートの屋上にウレタン防水を重ねるP0X工法では、押えコンクリートが新しい防水層の下地になります。仕様書は、P0X工法の既存下地の処理として、次の内容を定めています(3.2.6(4)(エ))。

  • 既存下地に付着している異物はケレンし、全面をデッキブラシ等で清掃する
  • コンクリート面等のひび割れ部は、ポリマーセメントモルタル等で補修する
  • 欠損部はポリマーセメントモルタルで平滑に補修し、支障のある浮き部は撤去して補修、ぜい弱部はケレン等のうえ補修する
  • 既存目地は、欠損部を補修して平たんにし、突出している目地材は撤去する。目地を脱気に利用する場合は、目地材を撤去して十分に脱気させてから、バックアップ材を用いてポリウレタン系シーリング材等を充填する
  • 部分的な水はけ不良は、ポリマーセメントモルタルで補修する

通気緩衝工法(X-1)が標準になる理由

仕様書では、P0X工法の新しい防水層は、特記がなければ種別X-1(絶縁工法)です(3.6.3)。押えコンクリートは雨水を含みやすく、その水分は下の防水層にさえぎられて下へ抜けません。密着工法で上からふさぐと、日射で温まった水分が蒸気になり、新しい防水層を押し上げて膨れの原因になります。

通気緩衝工法は、押えコンクリートとウレタン防水層の間に通気緩衝シートを挟み、シートの通気層に集まった湿気を脱気筒から外へ逃がす工法です。仕様書では、脱気装置の種類と設置数量は特記により、特記がなければ主材料の製造所の仕様によるとしています。シートの仕組みは「通気緩衝シートとは」、脱気筒の役割と設置数の考え方は「脱気筒とは」で解説しています。

伸縮目地の処理

押えコンクリートには、温度による伸び縮みを逃がすための伸縮目地が格子状に入っています。目地材(エラスタイトなど)がやせたり、突き出したりしたまま上に防水層を重ねると、段差や空洞の上に塗ることになります。そのため、傷んだ目地材を撤去し、シーリング材などで平らにしてから防水層を重ねます。

八王子 図解 押えコンクリートの伸縮目地の処理 既存の状態 目地材の撤去 シーリング材の充填と防水層の新設
図解:押えコンクリートの伸縮目地の処理(模式図。仕様書3.2.6(4)の既存目地の処理をもとに当社が整理)
八王子市内のビル屋上 目地材を撤去した押えコンクリートの目地にシーリング材を充填している様子
目地の処理:目地材を撤去した押えコンクリートの目地に、ガンでシーリング材を充填している。充填した目地が白い線になって見える(八王子市内のビル)

立上りとドレン回り

仕様書のP0X工法では、平場の押えコンクリートと防水層は残しますが、立上り部等の保護層と防水層は撤去します(表3.1.1。撤去しない場合は特記によります)。立上りを撤去しない場合の防水層の下地は、主材料の製造所の仕様によるとされています(3.6.4)。

ルーフドレン回りは、改修用ドレンを設けない場合、ドレン端部から500mm程度まで押えコンクリートを四角形に撤去します(3.2.3)。改修用ドレンを設けるかどうかは特記により、取り付け方法は新設する防水材の製造所の仕様によります(3.2.5)。ひび割れ・欠損の補修や、ドレン回りの斫りの方法は「屋上防水の下地補修とは」で解説しています。

露出アスファルト防水の上に重ねる場合

露出アスファルト防水の上にウレタンを新設する工法は、仕様書の表3.1.1にはありません。一方で、ウレタン防水材のメーカーの中には、既存の露出アスファルト防水層の上にウレタンを重ねる専用の仕様を定めているところがあります。重ねる場合は、使うウレタン防水材のメーカーがその下地をどう扱うと定めているかが判断の基準になります。

例として、AGCポリマー建材の「サラセーヌAS工法」の資料には、次のような記載があります。

項目メーカー資料の記載(要約)
適用できる状態既存の露出アスファルト防水層に膨れ(浮き)や破断などの不具合がなく、劣化が比較的軽度な場合に限り適用できる。劣化の進行が顕著な場合は採用できないことがある
表面の清掃・乾燥表面の砂溜り・泥・ゴミ・ホコリ・もろい塗膜を完全に除去し、十分に乾燥させる
膨れ・継目浮きや膨れは、防水層を切開し、乾燥後にトーチバーナーで再接着する。接合部のはく離や口開きも再接着する
砂目・段差既存ルーフィングの砂目や段差は、指定の下地調整材で平滑にする
アスファルト成分の影響アスファルト成分のブリード防止のため、指定のボンド・目止め材を使う。既存ルーフィングの状態によっては、新しいウレタン層の表面にブリード現象(変色、汚れやすい)が生じるおそれがある
平場の層構成下地調整材の上に通気緩衝シートを張り、ウレタン防水材を2回に分けて塗り、仕上げ材を塗る
脱気筒既存防水層に脱気筒がない場合、必要に応じてシートから既存防水層の下まで直径30mm程度切り抜き、その上に脱気筒を設置する
立上り既存防水層の立上り部は、原則として防水層・固定金具とも撤去する。撤去しない場合は端末シーリング材を打ち替える
出典:AGCポリマー建材「既存アスファルト防水下地改修工法 サラセーヌAS工法」(2026年2月版)、同「既存露出アスファルト防水改修工法 サラセーヌAS工法」(2020年1月版)の記載を要約。材料名・使用量は資料を参照。ほかのメーカーの仕様は、それぞれの資料による

露出防水の上に重ねるときの要点は、砂と膨れの処理、そしてアスファルト成分への対応です。アスファルトの上にウレタンを直接塗るのではなく、メーカーが指定する下地調整材やボンドを挟むのはこのためです。下地ごとのプライマーの選び方は「防水プライマーとは」で解説しています。

断面と工程の違い|保護防水と露出防水を並べて比べる

どちらも「既存のアスファルト防水を残し、通気緩衝シートの上にウレタンを塗る」点は同じですが、下地として使う層と、重ねる前の処理が違います。

八王子 図解 保護アスファルト防水と露出アスファルト防水の上にウレタン防水を重ねたときの断面の違い
図解:保護防水と露出防水の上にウレタンを重ねたときの断面の違い(模式図。層の厚さは実際と異なる)
工程保護防水(押えコンクリート)露出アスファルト防水
1. 清掃異物のケレン、デッキブラシ等による全面の清掃砂溜り・泥・ゴミ・もろい塗膜の除去、乾燥
2. 既存層の補修ひび割れ・欠損・浮き部・ぜい弱部の補修膨れ・浮きの切開と再接着、継目のはく離の再接着
3. 目地・表面の処理伸縮目地材の撤去とシーリング材などの充填指定の下地調整材で砂目・段差を平らにする
4. 立上り・ドレン回り立上り部等の保護層・防水層の撤去、ドレン回りの撤去または改修用ドレン立上り部の撤去(または端末シーリングの打ち替え)、ドレン回りの処理
5. 通気緩衝シート・脱気筒接着剤で通気緩衝シートを張り、脱気筒を設ける指定のボンドや自着層で通気緩衝シートを張り、必要に応じて脱気筒を設ける
6. ウレタン防水材2回以上に分けて塗るメーカーの仕様に従って塗る
7. トップコート仕上塗料を塗る仕上げ材を塗る
保護防水は国交省 改修標準仕様書(令和7年版)3.2.3・3.2.6・表3.1.1・表3.6.1、露出防水はAGCポリマー建材の資料をもとに当社が整理。実際の工程は使う材料のメーカーの仕様による

当社の実例:押えコンクリートを残してウレタン通気緩衝工法で改修

八王子市内のビルの屋上は、押えコンクリート(シンダーコンクリート)仕上げで、伸縮目地の劣化や表面の傷みが進んでいました。押えコンクリートを撤去せず、伸縮目地材の撤去、カチオン系樹脂による下地処理、ドレン回りの斫りと補修、プライマー、目地のシーリング、通気緩衝シート、立上りのメッシュ補強、脱気筒の設置、ウレタン2層、トップコートの順で改修しました。既存が保護アスファルト防水であれば、仕様書のP0X工法に当たる考え方です。

八王子市内のビル屋上 押えコンクリートの上に張った緑色の通気緩衝シートと継ぎ目の白いテープ
通気緩衝シート:緑色の通気緩衝シートを張り、シートの継ぎ目を白いテープ状の材料でローラー押さえしているところ(八王子市内のビル。下地は押えコンクリート)

工程ごとの写真と、工法を選んだ理由は「八王子のビル屋上防水 施工事例|通気緩衝工法の全工程を写真で解説」で紹介しています。密着工法と通気緩衝工法の違い、ウレタン防水そのものの工程は「ウレタン防水とは」をご覧ください。

ウレタン以外の重ね方・撤去との比較

既存のアスファルト防水を残して改修する方法は、ウレタン防水だけではありません。仕様書には、改質アスファルトシートや合成高分子系シートを重ねる工法、既存を撤去して新しくつくる工法も定められています。主な違いは次のとおりです。

改修の方法仕様書の工法の例特徴向く状態
ウレタン防水を重ねる保護:P0X/露出:表に区分なし(メーカー仕様)液状の材料を塗るため継ぎ目がなく、設備架台や配管の根元など形の複雑な部分も塗り包みやすい既存層を下地として使え、設備が多い屋上
改質アスファルトシートを重ねる保護:P0AS/露出:M4AS既存と同じアスファルト系の材料で重ねる既存層を下地として使え、露出防水の上に仕様書の標準の工法で重ねたい場合
合成高分子系シートを重ねる保護:P0S/露出:M4S塩ビシートなどを接着、または機械的固定で張る広く平らな屋上。機械的固定は既存層への接着に頼らずに張れる
撤去して新しくつくる保護:P1B など(保護層・防水層とも撤去)/露出:M3AS・M3D など既存を撤去するため下地を全面で確認できる。撤去・処分の工程が加わる浮き・膨れ・破断が全体に広がっている、下地の水分が多い
工法名は国交省 公共建築改修工事標準仕様書(令和7年版)表3.1.1による(断熱工法は省略)。特徴と向く状態は当社の整理

塩ビシートの機械的固定工法は「塩ビシート防水とは」、既存がシート防水の場合のかぶせ工法は「シート防水の上にシート防水はできる?」、防水の種類ごとの違いは「防水工事の種類4つを比較」で解説しています。

費用の決まり方|見積書のどこを見るか

アスファルト防水の上にウレタンを重ねる工事の費用は、ウレタンを塗る面積だけでは決まりません。金額を左右するのは、次の点です。

  • 既存層の補修の量:押えコンクリートのひび割れ・欠損・浮き、露出防水の膨れ・継目の補修の範囲
  • 伸縮目地の長さ(保護防水):目地材の撤去とシーリング材の充填は、目地の長さで数える
  • 立上りとドレン回りの撤去・処理:立上り部の保護層・防水層の撤去、ドレン回りの撤去、改修用ドレンの有無
  • 脱気筒の数:屋上の面積や形、メーカーの仕様で決まる
  • 面積と形:平場の広さ、立上りの長さと高さ、設備架台や配管の数

参考に、見積書に出てくる主な項目と単位の例を挙げます。金額・数量は掲載していません。

項目主な内容単位
高圧洗浄・清掃平場・立上りの清掃㎡
伸縮目地 処理既存目地材の撤去、シーリング材の充填m
下地補修・調整ひび割れ・欠損の補修、下地調整材、膨れ処理(露出防水)式
立上り 既存撤去立上り部の保護層・防水層の撤去m
ウレタン通気緩衝防水 平場通気緩衝シート+ウレタン+トップコート㎡
ウレタン防水 立上り立上りの高さを書くm
脱気筒 設置脱気筒の新設箇所
改修用ドレン 取付既存のルーフドレン箇所
見積書の項目と単位の例(当社の整理)。項目の分け方は工事の内容によって変わる

「下地補修・調整」は、既存層を清掃・切開してみて量が分かる部分があるため「式」で書かれることが多い項目です。見積書を比べるときは、伸縮目地の処理や立上りの撤去が含まれているか、補修の範囲が増えたときにどう扱うかを確認すると、違いが分かりやすくなります。

アスファルト防水の上に重ねるときのつまずきやすい点

アスファルト防水を残してウレタンを重ねる改修は、撤去を減らせる合理的な方法です。工事を頼む前に、次の点がどう扱われるかを確認しておくと、仕上がりの見通しが立てやすくなります。

1. 保護か露出かで工程が変わる

「アスファルト防水の上にウレタン」とひとまとめにすると、押えコンクリートの目地処理や、露出防水の砂・膨れの処理が見積から抜けることがあります。既存がどちらで、どの処理が工程に入っているかを確認します。

2. 下地の水分と工法の選択

押えコンクリートの下や、露出防水の膨れの中に水分が残ったまま密着工法で重ねると、新しい防水層が膨れることがあります。通気緩衝シートと脱気筒で湿気を逃がす計画になっているか、脱気筒の数と位置を確認します。

3. 立上り・ドレン回りを平場と同じ扱いにしない

仕様書でもメーカー資料でも、立上り部やドレン回りは、平場とは別に撤去や処理を定めています。平場だけを重ねて立上りの端部やドレン回りの傷みが残ると、そこが水の入口になることがあります。撤去の範囲と、改修用ドレンの要否を確認します。

4. 露出防水では、材料の組み合わせを確かめる

露出アスファルト防水の上では、アスファルト成分が新しい層ににじむと、表面の変色や汚れの原因になります。上に塗るウレタン防水材のメーカーが、既存アスファルト防水への施工を仕様として定めているか、指定の下地調整材やボンドが見積に入っているかを確認します。

アスファルト防水の上のウレタン防水のよくある質問

Q. 押えコンクリートは撤去しないと駄目ですか?

撤去しない改修も、国交省の改修標準仕様書に定められています(ウレタン防水を新設するP0X工法)。平場の押えコンクリートと防水層を残し、立上り部等の保護層と防水層は撤去します。残せるかどうかは、押えコンクリートの浮きやひび割れ、下地の水分、建物にかかる重さを現地で確認して判断します。

Q. 既存に雨漏りがあっても重ねられますか?

先に雨漏りの入口を確かめます。入口は防水層の破断だけでなく、ドレン回り、立上りの端部、笠木、設備の配管の根元など、1か所とは限りません。入口を確かめないまま全体を重ねても、別の経路から水が入ることがあります。押えコンクリートの下に水が多く回っている場合は、撤去を含めて検討します。

Q. 重ねたウレタン防水は何年もちますか?

ウレタン防水の耐用年数は、一般的な目安で約10〜13年です。その間はトップコートを5〜10年ごと(当社の目安)に塗り替えて防水層を守ります。日当たりや水はけ、下地の状態で前後するため、引き渡し後の定期点検で状態を確かめながら、トップコートの塗り替えの時期を決めます。

Q. ウレタンと改質アスファルトシート、どちらが向きますか?

屋上の形と既存の種類で変わります。設備架台や配管が多く、形が複雑な屋上では、液状で継ぎ目なく塗り包めるウレタンが納めやすくなります。既存が露出アスファルト防水で、仕様書の標準の工法で重ねたい場合は、改質アスファルトシートを重ねるM4AS工法も候補です。現地の状態を見て、両方の工程と見積を比べて選ぶのが確実です。

Q. 工事中のにおいや騒音はありますか?

押えコンクリートを残すため、平場全体を斫る大きな音は出ません。立上り部やドレン回りの保護層を撤去する日は、斫りの音が出ます。ウレタン防水材やプライマーは材料によってにおいが出ることがあり、露出防水の膨れの再接着でトーチバーナーを使う場合は、あぶるときのにおいも出ます。音やにおいの出る日は、事前にお知らせします。

Q. 重ねた防水にも保証はつきますか?

当社の屋上防水の保証は、平場10年・立上り5年です。保証書を発行し、保証の範囲を書面でお渡しします。屋上の一部だけを改修する場合は、範囲と内容に合わせて、保証の有無と内容を見積時にお伝えします。

巧正のアスファルト防水改修への対応

巧正株式会社は、八王子市を拠点に屋上防水・外壁塗装などの建物修繕を行う会社です。元請け一貫体制で、現地調査・見積・工程管理・完工後の点検までを当社が担当し、防水工事は協力職人と組んで施工します。

  • 現地で既存が保護防水か露出防水かを確かめ、押えコンクリートや既存層の状態、下地の水分、立上りとドレン回りの傷み方をもとに、重ねるか撤去するかを分けてご説明します
  • この記事の八王子市内のビルでは、押えコンクリートを残し、伸縮目地の処理から通気緩衝シート・脱気筒・ウレタン2層・トップコートまでの工程で屋上を改修しました
  • 保証:屋上防水は平場10年・立上り5年。引き渡し後は1年・3年・5年・10年の定期点検で状態を確認します
  • 外壁診断士が屋上全面と立上り・ドレン回りを確認し、写真付きの診断書で状態をお伝えします

東京都知事許可(般-7)第161006号。創業2014年4月、2023年10月に法人化し、累計1,000件超の工事を手がけてきました。「今のアスファルト防水の上に重ねられるか」を知りたい段階でもご相談ください。

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執筆・監修:巧正株式会社(外壁診断士・2級建築施工管理技士補 在籍)

出典・参考資料

巧正株式会社

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