ウレタン防水とは|密着工法と通気緩衝工法の違い・工程・費用の目安
マンションやビルの屋上防水で最も一般的な工法のひとつがウレタン防水です。液状の材料を塗って防水層をつくるため、設備やドレンの多い屋上でも継ぎ目なく仕上がります。一方で「密着工法と通気緩衝工法のどちらか」「何回塗るのか」「何年もつのか」は、見積書だけでは分かりにくい部分です。
この記事では、八王子を拠点にマンション・ビル・工場・戸建ての防水改修を元請けとして手がける巧正株式会社が、国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書の規定と、当社が手がけたビル屋上の工程写真をもとに、ウレタン防水の仕組み、2つの工法の違いと選び方、工程、耐用年数、一般的な費用の目安を整理します。
結論:ウレタン防水は「液状のウレタンゴムを塗り重ねて、継ぎ目のない防水層をつくる工法」。工法は下地に直接塗る密着工法(X-2)と、通気緩衝シートを挟んで下地の水分を脱気筒から逃がす通気緩衝工法(X-1)の2つで、既存の防水の種類と下地の水分で選ぶ
国土交通省の改修仕様書では、平場のウレタン防水材の使用量は通気緩衝工法で3.0kg/㎡、密着工法で3.0kg/㎡(補強布張りの0.3kg/㎡を含む)とされ、どちらも2回以上に分けて塗ります。耐用年数の一般的な目安は約10〜13年、トップコートの塗り替えは5〜10年ごと(当社の目安)。費用の一般的な相場は1㎡あたり3,000〜7,500円、屋上100㎡の総額で密着工法50〜90万円・通気緩衝工法60〜120万円程度(税込・足場や撤去費は別)です。
ウレタン防水とは|液状のウレタンゴムで継ぎ目のない防水層をつくる
ウレタン防水は、液状のウレタンゴム系防水材をローラーやコテで塗り重ね、硬化させてゴム状の防水層をつくる塗膜防水の一種です。シート防水のように継ぎ目がなく、ドレン(排水口)や配管、設備架台の根元といった複雑な形も、同じ材料で連続して覆えるのが最大の特長です。国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書(令和7年版)では、3章6節「塗膜防水」で、JIS A 6021(建築用塗膜防水材)の屋根用に適合するウレタンゴム系高伸長形・高強度形の材料を使うことが定められています。
防水層の上には、紫外線と摩耗から防水層を守る仕上塗料(トップコート)を塗ります。防水の性能そのものはウレタンの層が担い、トップコートはそれを長持ちさせる保護層です。マンションの屋上・開放廊下・バルコニー、ビルや工場の陸屋根で広く使われており、既存の防水層の上から重ねる改修にも向いています。
- 継ぎ目がない……液状の材料が硬化して一体の層になる。複雑な形状や狭い場所に強い
- 軽い……使用量3.0kg/㎡(硬化物比重1.0の材料で厚み約3mm相当)の塗膜で、既存の防水層の上に重ねても建物への負担が小さい
- 改修で選ばれやすい……既存がウレタンやアスファルト防水の場合、条件が合えば撤去せずに重ねられる
- 現場の施工管理で品質が決まる……塗る厚み(使用量)と乾燥時間の管理が寿命を左右する。工場製品のシートと違い、現場で層をつくる工法
密着工法と通気緩衝工法の違い|下地の水分の逃がし方で分かれる
ウレタン防水には、下地に直接塗る密着工法と、下地と防水層の間に通気緩衝シートを挟む通気緩衝工法(絶縁工法)があります。改修仕様書では密着工法を種別X-2、通気緩衝工法を種別X-1として、材料と使用量を次のように定めています。戸建てのバルコニー2か所にウレタン防水を塗った実例は八王子のサイディング外壁・スレート屋根塗装 施工事例|戸建ての全工程の工程6で写真つきで紹介しています。
| 項目 | 密着工法(X-2) | 通気緩衝工法(X-1) |
|---|---|---|
| 工程1 | プライマー塗り | 接着剤塗り+通気緩衝シート張り(0.3kg/㎡) |
| 工程2 | ウレタン防水材塗り+補強布張り(0.3kg/㎡) | ウレタン防水材塗り(3.0kg/㎡、2回以上に分割) |
| 工程3 | ウレタン防水材塗り(2.7kg/㎡、2回以上に分割) | 仕上塗料塗り |
| 工程4 | 仕上塗料塗り | ― |
| 脱気装置 | ― | シート張りのあとに設置(種類・数量は特記または製造所の仕様) |
| 下地の水分 | 逃げ場がない。含水が多いと膨れの原因になる | シートの通気層を通って脱気筒から外へ逃げる |
| 向く下地 | 乾いたコンクリート、既存ウレタン、小面積、立上り | 既存アスファルト防水の保護層の上、含水が残る下地、雨漏り後の改修、広い屋上 |
| 費用・工期 | 材料が少なく安い。工期短め | シート・脱気筒の分だけ高い。工期長め |

密着工法は、プライマーで下地とウレタンを直接くっつける方法です。材料も手間も少なく済みますが、下地に残った水分が日射で水蒸気になったとき逃げ場がなく、防水層を押し上げて膨れが出ることがあります。通気緩衝工法は、下地との間に通気層をもつシートを挟み、水蒸気をシートの通気層から脱気筒へ集めて外に逃がします。脱気筒の種類と数は改修仕様書では特記か製造所の仕様によるとされ、日本建築学会のJASS 8では25〜100㎡に1個が目安とされています。置く位置は勾配の高い側(水上側)が基本です。
なお、どちらの工法でも立上り(パラペットや壁との取り合い)は密着工法で、補強布を入れてウレタンを塗ります。立上りは通気緩衝シートを張らず、ひび割れが入りやすい部位なので補強布で動きに追従させます。
どちらを選ぶか|既存の防水の種類・下地の水分・面積で決まる
改修で工法を決めるときに見るのは、主に3つです。①いま入っている防水の種類、②下地に水分が残っているか、③面積と形状。改修仕様書でも、既存がアスファルト防水で保護層を撤去しない場合(P0X工法)は通気緩衝工法のX-1を、既存が塗膜防水で上から重ねる場合(L4X工法)は密着工法のX-2を標準としています。

- 通気緩衝工法を選ぶケース……既存がアスファルト防水の押えコンクリートで、表面を撤去しないで重ねるとき/既存の防水層に膨れが出ている、雨漏りのあとで下地に水分が残っているとき/100㎡を超える広い屋上(当社の目安)
- 密着工法を選ぶケース……既存がウレタン防水で劣化が軽く、下地が乾いているとき/ベランダ・バルコニー・開放廊下など小面積で、人がよく歩く面/立上りはすべて密着工法
- 現地で確認すること……既存防水の種類と層の数、膨れ・浮きの範囲、下地の含水(打診と、必要に応じて水分計)、ドレンまわりと立上りの状態、脱気筒を置ける位置
既存がシート防水の場合は、改修仕様書の標準は同じシート系での改修(S4S工法など)で、シートの上に塗膜防水を新設する区分はありません。シートの上にウレタンを重ねられるかは、現地の確認と試験施工で判断します。詳しくはシート防水の上にウレタン防水できる?工法・注意点・費用をプロが解説で説明しています。
ウレタン防水の工程|通気緩衝工法の実例を写真で追う
八王子市内のビル屋上(押えコンクリート下地)を通気緩衝工法で改修した工程です。下地処理に手間をかけ、層ごとに硬化を待って塗り重ねるため、全体の工期は面積と天候で変わりますが、100㎡前後の屋上で2〜3週間が目安です(当社の目安)。
① 下地の点検と処理
この現場では、劣化した伸縮目地材を撤去し、ドレンまわりの欠損をモルタルで成形してから、押えコンクリートの表面にカチオン系の樹脂を塗って下地を固めました。改修仕様書では、コンクリートの打継ぎ箇所や著しいひび割れ、ドレン・配管の取合いは、幅100mm以上の補強布で補強塗りをすると定められています(3.6.4)。


② プライマー・通気緩衝シート・脱気筒
表3.6.1のX-1は接着剤塗りと通気緩衝シート張りから始まる工程で、シートの張付け方法やその前のプライマーの要否は製造所の仕様によります。この現場では、下地が乾いてからプライマーを塗り、そのうえで通気緩衝シートを張りました。シートの通気層の水分が集まる水上側に脱気筒を置き、立上りには補強布(メッシュ)を入れます。通気緩衝シートの種類(穴あき・粘着層付きなど)と張り方の決まりは通気緩衝シートとは|膨れを防ぐ仕組み・種類・寿命・費用の決まり方で部材として取り上げています。



③ ウレタン防水材を2回以上に分けて塗る
ウレタン防水材は、改修仕様書で2回以上に分割して塗り付けること、1工程あたりの使用量は平場2.5kg/㎡・立上り1.5kg/㎡を上限とすることが定められています。1層目が硬化してから2層目を塗り、平場で合計3.0kg/㎡(硬化物比重1.0の材料で厚み約3mm)を確保します。塗継ぎの重ね幅は100mm以上です。

④ トップコート(仕上塗料)
ウレタンが硬化したら、仕上塗料を塗って完成です。仕上塗料の種類と使用量は特記または製造所の仕様によります。グレーやグリーンが標準色で、遮熱タイプや、歩行の多い廊下向けの防滑仕上げもあります。


この現場の全工程は八王子のビル屋上防水 施工事例|通気緩衝工法の全工程を写真で解説で15枚の写真つきで公開しています。
耐用年数とメンテナンス|約10〜13年、トップコートは5〜10年ごと
ウレタン防水の耐用年数の一般的な目安は約10〜13年です。塩ビシート防水(約13〜15年)やアスファルト防水(約15〜20年)より短めですが、トップコートを5〜10年ごと(当社の目安)に塗り替えることで、防水層本体の改修を先に延ばせます。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインの参考値では、屋上防水は補修・修繕12〜15年、撤去・新設24〜30年の周期で示されています。塩ビシート防水とどちらを選ぶかの考え方はシート防水とウレタン防水の違い|どちらが安い?改修で選ぶ基準と耐用年数で詳しく説明しています。
- 5〜10年……トップコートの塗り替え。色あせ・白化(チョーキング)が出たら前倒し
- 10〜13年前後……防水層の点検。膨れ・ひび割れ・立上りの浮きがなければ、既存の上にウレタンを重ねる改修(かぶせ)が選べる
- 年1回……ドレンまわりの落ち葉・土の清掃。水たまりが続くと防水層の負担が増える
劣化の症状別の緊急度と、膨れが出たときの対処は屋上防水の劣化サイン7つ|症状別の緊急度と改修(かぶせ・撤去)の選び方にまとめています。
費用の目安|㎡単価の相場と、屋上100㎡の総額
ウレタン防水の一般的な相場は、1㎡あたり3,000〜7,500円です。密着工法が安く、通気緩衝工法はシート・脱気筒の材料と手間の分だけ高くなります。これは業界各社の公開情報からみた平場の目安で、当社の単価ではありません。下地補修、立上り、ドレン改修、撤去・処分、足場や昇降設備は別に加わります。
| 屋上の面積 | 密着工法 | 通気緩衝工法 |
|---|---|---|
| 100㎡ | 50〜90万円 | 60〜120万円 |
面積が小さいほど、洗浄・養生・搬入出など面積に比例しない費用の割合が大きく、㎡単価×面積では計算できません。25〜30㎡・50㎡の面積帯ごとの目安は小規模マンション・アパートの屋上防水|面積別の費用相場と工法の選び方で詳しく整理しています。
ウレタン防水が向く場所・ほかの工法が向く場所
- 向く……設備架台・配管・ドレンが多いマンション・ビルの屋上/開放廊下・階段(防滑仕上げ)/既存防水の上に重ねる改修/形が複雑なルーフバルコニー
- 塩ビシート防水が向く……障害物の少ない広く平坦な屋上。工場製品のシートで厚みが均一、耐用年数も長め
- FRP防水が向く……木造戸建てのベランダなど、小面積で人がよく歩き、硬さが要る面
- 高強度形ウレタンの吹付け(X-1H/X-2H)……指触乾燥60秒以内と定められた速硬化の材料を機械で吹き付ける仕様。工期を縮めたい大面積で使われる
4つの防水工法の全体像と、場所別の標準的な工法は防水工事の種類4つを比較|ウレタン・FRP・シート・アスファルトの違いにまとめています。
よくある不具合と、工事で防ぐポイント
- 膨れ……下地の水分が原因。含水が残る下地に密着工法で重ねると起きやすい。通気緩衝工法と脱気筒で防ぐ
- 厚み不足……使用量を管理せず薄く塗ると寿命が縮む。仕様書の使用量(平場3.0kg/㎡)を工程写真と使用缶数で確認する
- 立上り・端部の浮き……補強布を入れずに塗ると動きに追従できない。立上りは密着工法で補強布を入れる
- 塗り重ねの不良……1層目の硬化前に2層目を塗る、逆に塗り重ね可能な時間を過ぎて層間の付着が落ちる(層間プライマーが必要になる)、といった時間管理の不備。プライマーは当日の施工範囲ごとに塗る
巧正の対応|既存の防水と下地を見てから工法をご提案します
当社は八王子を拠点に、マンション・ビル・工場・戸建ての防水改修を元請けとして手がけています。施工は、特別教育を修了した協力職人と組み、当社が元請けとして工程・安全・品質を監理する体制で行います。ウレタン防水のご相談では、まず現地で既存の防水の種類と下地の含水を確認し、密着工法か通気緩衝工法か、既存を残せるか撤去が要るかを分けてご説明します。
- 無料の建物診断と見積……現地調査・お見積りは無料で、契約の義務はありません。見積書には密着工法か通気緩衝工法かと工程を明記し、使用量は仕様書の値を基準にご説明します
- 保証……屋上防水は平場10年・立上り5年。引き渡し後は1年・3年・5年・10年の定期点検で防水層とトップコートの状態を確認します
- 工程写真……下地処理から仕上げまで工程ごとの写真をお渡しし、使用量が分かるように記録します
屋上・廊下・バルコニーのウレタン防水のご相談は無料です。無料で相談する/お電話 042-508-3134(9:00〜18:00/日曜定休)
よくあるご質問
Q1. ウレタン防水は何年もちますか
A. 一般的な目安は約10〜13年です。トップコートを5〜10年ごと(当社の目安)に塗り替え、ドレンまわりを清掃していれば、防水層本体の改修を先に延ばせます。日当たりや歩行の頻度、下地の状態で前後します。
Q2. 密着工法と通気緩衝工法、どちらが良いですか
A. 優劣ではなく下地で決まります。下地が乾いていて小面積なら密着工法、既存のアスファルト防水の上や含水が残る下地、雨漏り後の改修、広い屋上なら通気緩衝工法を選ぶのが一般的です。国交省の改修仕様書でも、既存の防水の種類によって標準の種別が分かれています。
Q3. 既存のウレタン防水の上に重ねられますか
A. 劣化が軽く、膨れや浮きが少なければ重ねられます。改修仕様書では既存が塗膜防水の場合、下地処理のうえ密着工法(X-2)で新設するのが標準です。層間接着用のプライマーを使い、膨れや浮きは切開・乾燥・補修してから塗ります。
Q4. 工事中のにおいや騒音はありますか
A. 下地処理(目地の撤去・斫り)の日は音が出ます。ウレタン材やプライマーには溶剤のにおいがある製品が多く、塗布日は窓を閉めていただくようお願いすることがあります。マンションでは工程表を掲示し、においの出る日を事前にお知らせします。
Q5. 雨の日は工事できますか
A. できません。下地が濡れているとプライマーやウレタンが付着せず、硬化中に雨が当たると表面が荒れます。雨天は工程を止め、乾燥を確認してから再開するため、工期には予備日を見込みます。
Q6. 見積書のどこを見れば工法が分かりますか
A. 「通気緩衝シート」「脱気筒」の項目があれば通気緩衝工法、「プライマー」「補強布(メッシュ)」のみなら密着工法です。ウレタン防水材の使用量(kg/㎡)か塗り回数が書かれているかも確認してください。書かれていない場合は、仕様書X-1/X-2相当かどうかを業者に聞くのが早い方法です。
まとめ
- ウレタン防水=液状のウレタンゴムを塗り重ねる継ぎ目のない塗膜防水……複雑な形状と改修に強い。品質は使用量と乾燥時間の管理で決まる
- 密着工法(X-2)と通気緩衝工法(X-1)……違いは下地の水分の逃がし方。既存の防水の種類と含水、面積で選ぶ。立上りはどちらも密着工法
- 使用量は平場3.0kg/㎡を2回以上に分けて……国交省改修仕様書の規定。見積書で使用量か塗り回数を確認する
- 耐用年数は約10〜13年、トップコートは5〜10年ごと……費用は一般的な相場で3,000〜7,500円/㎡。総額は面積と下地で変わる
一次資料
- 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版(国土交通省・PDF)|3章 防水改修工事 1節 表3.1.1(P0X・L4X工法)、6節 塗膜防水(3.6.2 材料、表3.6.1 種別X-1/X-2の工程と使用量、表3.6.2 高強度形X-1H/X-2H、3.6.4 施工)
- 長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント(国土交通省・令和6年6月改定・PDF)|屋上防水の修繕周期の参考値
執筆・監修:巧正株式会社 施工管理部(外壁診断士・2級建築施工管理技士補(仕上げ)在籍)|累計1,000件超の施工実績。耐用年数・費用は一般的な相場の目安で当社の単価ではありません。工法の選定は現地の含水確認と既存防水の状態で決まります。2026年10月8日時点の公表資料にもとづいています。
密着工法か通気緩衝工法か、現地を見てからご提案します
屋上・開放廊下・バルコニーの防水について、現地調査で既存の防水の種類と下地の含水を確認し、工法・使用量・工程を明記した見積をご報告します。現地調査・お見積りは無料で、契約の義務はありません。
無料で相談する/お電話 042-508-3134(9:00〜18:00/日曜定休)
巧正株式会社/東京都知事許可(般-7)第161006号/〒192-0045 東京都八王子市大和田町6-19-8 ウィングマンション205号
