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防水プライマーとは|役割・種類・下地別の選び方とシーラーとの違い

防水工事の工程表や見積書には、ウレタン防水やシート防水の材料名の前に「プライマー」という言葉がよく出てきます。完成すると防水層の下に隠れて見えなくなりますが、新しい防水層が下地や既存の防水層にしっかり付くかどうかを左右する、最初の工程です。

この記事では、防水プライマーの役割と種類、下地ごとの選び方、改修工事で使う「層間プライマー」、塗るときの注意点、見積書での書かれ方を、防水材メーカーの公表資料と、八王子市内の4つの現場の写真で解説します。塗装の下塗り(シーラー)やシーリングのプライマーとの違いも整理します。

先に結論をまとめます。

  • 防水プライマーは、防水層を下地(または既存の防水層)に付着させるために最初に塗る下塗り材です。塗装のシーラーやシーリングのプライマーとは、塗る相手と上に重ねる材料が違います
  • 種類は「いま塗る面」で決まります。コンクリート・モルタル用、既存ウレタン用(層間プライマー)、塩ビシート用、ゴムシート用、金属用などがあり、上に塗る防水材のメーカーの適合表に従って選びます
  • 層間プライマーは、既存のウレタン防水層や、雨に当たったり時間があいたりしたウレタン層の上に、次の層を付着させるためのプライマーです。今回確認したメーカー資料の塗布量は、製品と仕様により0.1〜0.2kg/㎡でした
  • 国交省の公共建築改修工事標準仕様書でも、ウレタン防水の密着工法(X-2)の工程1は「プライマー塗り」で、使用量は防水材メーカーの仕様によるとされています(メーカーカタログに掲載された抜粋で確認)
  • 見積書では、プライマーが独立した行にならず、工法名や摘要(「プライマー+ウレタン2層+トップコート」など)に含めて書かれることがよくあります
目次

防水プライマーとは|防水層と下地をつなぐ最初の下塗り

防水プライマーは、防水材を塗ったり張ったりする前に、下地に塗っておく液状の材料です。関東防水管理事業協同組合は、プライマーの役割を、下地との密着性を確保することと、次に塗る材料との密着性を高めることの2つに整理しています。下塗り材と呼ばれることもあります。

国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書(令和7年版)の表3.6.1では、ウレタンゴム系の塗膜防水の密着工法(X-2)の工程1が「プライマー塗り」で、使用量は「主材料の製造所の仕様による」とされています(この記事では、シーカ・ジャパンのカタログに掲載された令和7年版の抜粋で確認しました)。どのプライマーをどれだけ塗るかは、上に塗る防水材のメーカーが決める、という位置づけです。

「最初に塗る下塗り」という点では、外壁塗装のシーラーや、シーリング工事のプライマーも同じです。ただし塗る相手と上に重ねる材料が違うため、別の材料として扱います。

下塗り材どこに塗るか上に重ねる材料主な目的
防水プライマー(この記事)屋上・バルコニーなどの防水下地、既存の防水層ウレタン防水材、防水シート、FRPなど防水層を下地や既存の防水層に付着させる
塗装のシーラー外壁・屋根などの塗装面塗料(中塗り・上塗り)下地の吸い込み止めと、塗料の密着
シーリングのプライマー外壁の目地やサッシ回りの、目地の側面シーリング材目地の側面にシーリング材を接着させる
3つとも「下塗り」と呼ばれるが、組み合わせる材料が違う。製品はそれぞれの上に重ねる材料のメーカーが指定する
八王子 図解 塗装のシーラー シーリングのプライマー 防水プライマーの違い
図解:塗装のシーラー・シーリングのプライマー・防水プライマーを塗る位置の違い(模式図)

塗装のシーラーの種類や乾燥時間は「シーラーとは」で、シーリング材を目地に付けるためのプライマーは「変成シリコン系シーリング材とは」と「シーリング工事(コーキング)」のページで解説しています。この記事では防水工事のプライマーに絞って説明します。

防水プライマーの役割|付着・吸い込み止め・材料の仲立ち

防水プライマーの役割は、大きく分けて次の4つです。どれも、防水層が下地から浮いたりはがれたりしないようにするためのものです。

  • 下地への付着:コンクリートやモルタルの表面に浸み込んで固まり、防水材が付く面をつくる
  • 吸い込み止め・目つぶし:関東防水管理事業協同組合は、ウレタン防水用のプライマーがコンクリートの細かな凹凸や気泡を埋める(目つぶしする)と説明している。アスミック(防水材ブランド)の資料には、塗ったときに下地への吸い込みが多い場合は再塗布するとある
  • 異なる材料の仲立ち:既存の塩ビシートやゴムシート、金属、FRPのように、防水材がそのままでは付きにくい面に、専用のプライマーを介して付着させる
  • 層と層の付着:既存のウレタン防水層や、硬化が進んだウレタン層の上に次の層を重ねるとき、層間の付着を確保する(後の章の「層間プライマー」)

プライマーそのものに防水の性能を期待する材料ではありません。防水の性能を担うのは、その上に塗る防水材やシートです。プライマーは、その防水層が設計どおりの厚さと付着で働くための土台をつくる材料です。

防水プライマーの種類|下地と樹脂の系統で分かれる

防水プライマーの製品名はメーカーごとに違いますが、資料ではおおむね「何の上に塗るか(用途)」と「樹脂の系統(ウレタン樹脂系・エポキシ樹脂系など)」「溶剤の種類(溶剤系・弱溶剤系・水系)」「1成分か2成分か」で分けられています。今回、メーカーの公表資料で用途を確認できた製品を、用途別に並べます。

用途(塗る面)製品の例(メーカー・ブランド)資料での説明
コンクリート・モルタル下地AGCポリマー建材(サラセーヌ)PJプライマー・サラセーヌP/アスミック コスミック・プライマーP・U・EPサラセーヌは「一般モルタル・コンクリート下地用」。コスミック・プライマーP・Uは1成分形ウレタン樹脂、EPは2成分形エポキシ樹脂でコンクリート・モルタルと金属下地用
既存のウレタン防水層(層間)AGCポリマー建材 PJ層間プライマー・P-60プライマー・PW-60プライマー/シーカ・ジャパン(DSカラー・ゼロ)層間プライマーJ・E/日本特殊塗料 プルーフロンUR層間プライマーサラセーヌでは「ウレタン改修・ウレタン層間」用。層間プライマーJは2成分形ウレタン樹脂(溶剤系)、Eは1成分形ウレタン樹脂(弱溶剤系)
塩ビシートシーカ・ジャパン 層間プライマーE/アスミック コスミック・プライマーE/日本特殊塗料 NT塩ビシートプライマーDSカラー・ゼロでは既存が塩ビシートの場合に層間プライマーEを使う。コスミック・プライマーEは「ウレタン及び塩化ビニル樹脂下地用」
加硫ゴムシートシーカ・ジャパン オープライマー/アスミック コスミック・エコプライマーオープライマーは2成分形エポキシ樹脂(水系)。DSカラー・ゼロでは既存がゴムシートの場合に使う。コスミック・エコプライマーはゴムシートに使う場合、事前の接着試験が必要
露出アスファルト防水の改修アスミック オープライマーバリア/日本特殊塗料 プルーフロンAS活性材Nオープライマーバリアは露出アスファルト防水改修工法用。AS活性材Nは既存露出アスファルト防水の改修用下地調整材
金属AGCポリマー建材 PW-700プライマー・PE-670プライマー/アスミック コスミック・プライマーEPサラセーヌの製品一覧で金属下地用
FRP・ポリエステル系AGCポリマー建材 サンPC-FV/アスミック FUプライマーサンPC-FVは塩ビシート・FRP下地(異種部材用)。FUプライマーはポリエステル樹脂トップコート下地用で、事前の接着試験が必要
出典:各社の製品カタログ・工法資料(記事末の出典一覧)。製品名と用途は資料の記載による。当社の現場で使った製品を示すものではない

同じ「塩ビシートの上」でも、メーカーによって指定のプライマーが違います。また、同じ製品でも工法によって塗布量が変わります。プライマーは単独で選ぶ材料ではなく、上に塗る防水材とセットで、そのメーカーの仕様から選ぶ材料です。

層間プライマーとは|既存のウレタン防水層に新しい層を付けるプライマー

層間プライマーは、すでにあるウレタン防水層の上に、新しいウレタン防水材やトップコートを付着させるためのプライマーです。当社でも、既存のウレタン防水の上に重ねる改修やトップコートの塗り替えでは層間プライマーを使います(製品名は現場ごとに異なり、この記事では缶や見積書で確認できたものだけを書く方針のため、記載していません)。

メーカー資料では、層間プライマーを使う場面として、主に次の3つが挙げられています。

  • 既存のウレタン防水層の上に重ねる改修:AGCポリマー建材(サラセーヌ)の資料は、既存ウレタン防水下地の場合は下地用のPJプライマーをPJ層間プライマーに変更するよう指示している。シーカ・ジャパンのDSカラー・ゼロでも、既存ウレタンの改修工法の工程1は層間プライマーJまたはE
  • トップコートの塗り替え:DSカラー・ゼロのトップコート塗替えの工程1は層間プライマーJまたはE。サラセーヌのTフッ素シリーズも、層間プライマーを使って塗り重ね改修ができるとしている
  • 同じ工事の中で、次の層まで間があいたとき:アスミックの資料は、ウレタン防水材を塗ったあとに雨や夜露などの水気に当たった場合や、塗り継ぎ・トップコートまでの間隔が接着可能時間を過ぎる場合に、表面を清掃して層間プライマーを塗るよう求めている
八王子 図解 層間プライマーを塗る位置 既存ウレタンの上に重ねる改修と工程の間隔があいた場合
図解:層間プライマーを塗る位置。Aは既存のウレタン防水の上に重ねる改修、Bは同じ工事の中で次の層まで間があいた場合(模式図)

塗布量と、塗ってから次の工程までの間隔は、製品ごとに決められています。今回確認できたメーカー資料の記載をまとめます。

メーカー・資料製品使う場面(資料の記載)塗布量次の工程までの間隔
AGCポリマー建材「ウレタン塗膜防水システム(都市再生機構 保全工事共通仕様書 令和5年版)」2025年4月版PJ層間プライマー(1成分形・弱溶剤のウレタン系)密着仕様・脱気絶縁仕様の層間。バルコニー床で下地がウレタン防水層の場合0.1kg/㎡(仕様により0.2kg/㎡。バルコニー床で下地がウレタン防水層の場合は0.1〜0.2kg/㎡)今回確認した資料には記載なし
シーカ・ジャパン「DSカラー・ゼロ」カタログ層間プライマーJ・層間プライマーE既存ウレタンの改修、トップコートの塗り替え(Eは既存が塩ビシートの場合も)0.1kg/㎡〜今回確認した資料には記載なし
日新工業「ウレタン系プライマー変更点の解説」(2022年11月)USプライマーM6(エポキシウレタン系のUSプライマーM4の改良品)ウレタン塗膜防水の層間、トップコートの塗り継ぎなど0.1kg/㎡塗布間隔の目安 2時間〜1日。サンディングのあと溶剤でよく拭き取ってから塗る
出典:各社の公表資料(記事末の出典一覧)。間隔は気温で変わるため、施工時は使う製品の最新の資料で確認する

国交省の改修仕様書の表3.6.1には、既存のウレタン防水層を残してX-2で重ねる改修(L4X工法)で、既存防水層の表面に「層間接着用プライマー」を塗った場合は工程1(プライマー塗り)を省略する、という注記があります(シーカ・ジャパンのカタログに掲載された令和7年版の抜粋で確認)。層間のプライマーが、下地用のプライマーの代わりになるという整理です。

層間プライマーを使えば、どんな既存の防水層にも重ねられるわけではありません。既存の層に膨れや浮き、下地の含水がある場合は、切開して乾燥させる、通気緩衝工法に替えるといった判断が先に必要です。工法の選び方は「ウレタン防水とは」で解説しています。

下地別の選び方|いま塗る面に合うプライマーをメーカーの適合表で決める

プライマーを選ぶ出発点は、「いま塗る面が何か」です。AGCポリマー建材のカタログには、下地によってプライマーの種類と塗布量が異なること、下地の種類に応じてプライマーを追加したり選び直したりする必要があることが書かれています。シーカ・ジャパンのカタログも同じ趣旨で、適合表を参照するよう案内しています。

アスミックの資料の「下地への適合一覧」は、製品と下地の組み合わせごとに、そのまま塗れるもの、目荒らし(表面を粗くする処理)のあとに接着試験をするもの、事前に接着試験をするもの、を記号で分けています。古い防水層やシートの上に塗るときほど、現地での確認が必要になります。

八王子 図解 下地別のプライマーの選び方 コンクリート 既存ウレタン 塩ビシート ゴムシート アスファルト 金属 FRP
図解:下地別のプライマーの系統と、メーカー資料に記載のある製品の例(製品名は各社資料の記載)
いま塗る面選ぶときに確認すること詳しい記事
コンクリート・モルタル乾燥しているか、表面のもろい部分や汚れが残っていないか。吸い込みが多いときの再塗布―
既存のウレタン防水層膨れ・浮き・はがれの処理、表面の清掃(製品によっては研磨)、層間プライマーの指定―(この記事の層間プライマーの章)
塩ビシートシートの種類の判別、塩ビに適合するプライマーの指定塩ビシート防水とは
加硫ゴムシートシートの種類の判別、ゴムシート用の指定、接着試験の要否シート防水の上にウレタン防水できる?
露出アスファルト防水改修工法用のプライマー・下地調整材の指定アスファルト防水とは
FRP(ベランダなど)既存のFRPやトップコートに適合するプライマーの指定、接着試験の要否FRP防水とは
金属(笠木・架台・ドレンなど)金属用プライマーの指定、さびの処理―
ALC・木部など今回確認した資料に該当の記載なし。防水材メーカーの適合表で確認―
確認することは、各社のカタログと施工資料の記載をもとに整理したもの。実際の選定は、使う防水材のメーカーの仕様による

既存がシート防水かどうか、塩ビかゴムかによって、プライマーの選び方は大きく変わります。シート防水の上にウレタン防水をかぶせる場合の判断は、上の表のリンク先で詳しく解説しています。

写真で見るプライマー塗布|八王子市内の4つの現場

ここからは、当社が元請けとして手がけた4つの現場で、防水材を塗る前にプライマーを塗った工程を写真で紹介します。日付は撮影記録が残っている写真だけに記載しています。製品名は、缶や見積書で確認できなかったため書いていません。

1. 既存のゴムシートの上:八王子市内の賃貸マンション

既存の防水がゴムシート防水で、シートを撤去せずにウレタン防水を密着工法でかぶせた屋上です。洗浄と下地補修のあと、立上りと平場のそれぞれにプライマーを塗り、ウレタン防水材2層とトップコートで仕上げました。

八王子市内の賃貸マンション屋上 瓦屋根の際の立上りにプライマーを塗る作業
プライマー(立上り):瓦屋根の際の立上りに、ローラーでプライマーを塗っているところ。手前の平場には白い弧状の筋が見える
八王子市内の賃貸マンション屋上 笠木の下の立上りにプライマーを塗る作業
プライマー(立上り):笠木の下の立上りに、ローラーでプライマーを塗り進めている。手前はストレーナーを外した排水口
八王子市内の賃貸マンション屋上 平場の既存シートの上にプライマーを塗る作業
プライマー(平場):平場にローラーでプライマーを塗っているところ。ローラーのまわりに色の濃い部分が広がっている

ゴムシートの上に塗るプライマーは、上の表のとおりメーカーごとに専用の製品が指定され、接着試験を求める資料もあります。既存がシートの場合は、シートの種類を見分けてからプライマーを決めることが前提です。

2. ポリマーセメント系の下地調整のあと:八王子市内のビル(法人所有)

膨れと水回りのある範囲の既存ウレタン防水を切開・撤去し、乾燥させてから、ポリマーセメント系の下地調整材で整えた部分補修の現場です。下地調整の面にプライマーを塗り、その上に通気緩衝シートを張りました。

八王子市内のビル屋上 通気緩衝シートを張る前の補修範囲へのプライマー塗布
プライマー:緑のテープで囲った補修範囲に、ローラーで塗り進めている途中。色が濃い部分が塗り終えた範囲(2026年10月6日)

通気緩衝シートの役割と張り方は「通気緩衝シートとは」で解説しています。

3. 脱気筒まわりの部分補修:八王子市内のビル

既存の防水層の上で、交換した脱気筒のまわりだけを部分的に補修した現場です。8月8日に脱気筒を取り付けてまわりに補強のメッシュを入れ、12日後の8月20日にプライマーを塗ってウレタン防水を塗り重ねました。前の工程から日数があいた面に次の層を重ねる場面では、メーカー資料は表面を清掃したうえで層間プライマーを塗るよう求めています。

八王子市内のビル屋上 脱気筒のまわりに刷毛でプライマーを塗る作業
プライマー:脱気筒のまわりの、網目模様が見える灰色の層に、刷毛でプライマーを塗っているところ。塗った部分は黄色みがかってぬれたように見える。青いテープで補修範囲を区切っている(2026年8月20日)

4. 戸建てのバルコニー:八王子市内の戸建て

外壁・屋根の塗装とあわせて、バルコニーの床をウレタン防水で改修した戸建ての現場です。見積書の摘要のとおり、床面のケレンと清掃のあと、プライマーを塗ってからウレタン防水材とトップコートを塗りました。

八王子市内の戸建て バルコニー床へのプライマー塗布
プライマー(バルコニー床):ローラーで塗り進めている途中。奥の面はつやがあり、左手前はつやが少ない(2026年8月17日)

塗り方と注意点|塗布量・乾燥・天候・塗り残し

プライマーは薄い材料ですが、塗り方の条件はメーカーの資料で細かく決められています。工事を頼む側から見て、知っておくと工程の説明が分かりやすくなる点をまとめます。

  • 塗布量:使用量は製品と工法ごとに決まっている(今回確認した層間プライマーは製品と仕様により0.1〜0.2kg/㎡)。下地が吸い込んで足りないときは再塗布する、とする資料もある
  • 次の工程までの間隔:プライマーにも、ウレタン層にも、次の材料を重ねてよい時間の目安(接着可能時間・塗布間隔)がある。過ぎた場合の処理(研磨して再塗布、層間プライマーを塗るなど)も製品ごとに決められている
  • 下地の清掃と乾燥:関東防水管理事業協同組合は、汚れやほこり、油分が残ると密着性が下がること、下地が湿った状態で塗ると密着不良や膨れの原因になることを挙げている
  • 天候:同組合は、気温5度以下では硬化に時間がかかり、湿度85%以上では乾燥不良のおそれがあるとしている。アスミックの資料も、降雨や夜露にさらされる可能性がある場合は施工を控えるよう求めている
  • 塗り残し:立上りの入隅、ドレンや架台のまわりなど細かい部分は塗り残しが出やすい。田島ルーフィングは、改修工事の仲介用プライマーは塗った部分が見分けにくいという課題を、プライマーを着色することで解消したと説明している

プライマーの不適合や塗り忘れ、乾燥不足は、完成後には見えません。工程ごとに写真を残しておくと、どの面に何を塗ったかを後から確かめる手がかりになります。

見積書での書かれ方|プライマーは工法名や摘要に含まれることが多い

この記事の4つの現場の見積書では、プライマーを独立した行にせず、防水工事の行の工法名や摘要に含めて書いています。項目名と単位は次のとおりです。金額は掲載していません。

現場見積書の項目規格・摘要(見積書の表記)単位
賃貸マンション(既存ゴムシート)立上り・天端 ウレタン塗膜防水密着工法(X-2)m
賃貸マンション(既存ゴムシート)平場 ウレタン塗膜防水密着工法(X-2)㎡
ビル(法人所有・部分補修)ウレタン通気緩衝防水プライマー+通気緩衝シート+ウレタン2層+トップコート式
ビル(脱気筒まわり)脱気筒 周辺 部分防水補修下地調整+プライマー+ウレタン密着(X-2)+トップコート式
戸建てバルコニーウレタン防水ケレン+清掃+プライマー+ウレタン防水+トップコート箇所
この記事の4現場の見積書(2026年3月〜9月)の項目と単位。単価・金額は掲載していません

国交省の仕様書でもプライマー塗りは密着工法(X-2)の工程の一部なので、「ウレタン塗膜防水 密着工法(X-2)」のように工法名で書かれている場合も、プライマーは工程に含まれていると読むのが一般的です。気になる場合は、次の点を確認すると内容が比べやすくなります。

  • 工程の説明か摘要に「プライマー」が入っているか
  • 既存の防水層の上に重ねる場合、層間プライマー(または既存の防水層に合うプライマー)を使う前提になっているか
  • 既存がシート防水の場合、シートの種類に合うプライマーと、接着試験の要否が説明されているか
  • 工程写真(プライマー塗布の写真)を残すか

防水プライマーのよくある質問

Q. プライマーを塗らないと、どうなりますか?

防水材が下地や既存の防水層に十分付かず、はがれや浮き、膨れの原因になります。国交省の仕様書でも、ウレタン防水の密着工法では工程1がプライマー塗りで、省略できるのは層間接着用のプライマーを塗った場合など、決められた条件のときだけです。

Q. 塗装のシーラーと何が違いますか?

どちらも最初に塗る下塗り材ですが、シーラーは外壁や屋根に塗料をのせるための材料、防水プライマーは防水材やシートを下地に付着させるための材料です。製品は上に重ねる材料のメーカーがそれぞれ指定するので、防水工事では防水材メーカーが指定するプライマーを使います。

Q. 層間プライマーは必ず必要ですか?

既存のウレタン防水層の上に重ねる改修や、トップコートの塗り替えでは、メーカー資料の工程に層間プライマーが入っています。新築や既存防水を撤去したコンクリートの上では、下地用のプライマーを使います。同じ工事の中でも、雨に当たったり、次の層までの間隔が接着可能時間を過ぎたりしたときは、メーカー資料では表面を清掃して層間プライマーを塗ることになっています。

Q. 雨の翌日でもプライマーは塗れますか?

下地が乾いていれば塗れますが、日数では決まりません。表面が乾いて見えても、既存の防水層の下や目地に水が残っていることがあります。目視や水分計で乾燥を確かめ、メーカーの施工条件(気温・湿度・下地の状態)を満たしてから塗ります。

Q. プライマーの色が現場によって違うのはなぜですか?

製品ごとに色が違うためです。透明や半透明の製品のほか、塗った範囲が見分けやすいように着色した製品もあります。この記事の現場の写真でも、塗った部分が濃い色に見えるもの、黄色みがかって見えるものがあります。色で良し悪しが決まるわけではありません。

Q. 既存がシート防水のときも、同じプライマーでよいですか?

いいえ。塩ビシートとゴムシートでは、メーカーが指定するプライマーが違います。DSカラー・ゼロのカタログでは、既存が塩ビシートなら層間プライマーE、ゴムシートならオープライマーと使い分けており、接着試験を求める資料もあります。まず既存のシートの種類を見分けることが前提です。

巧正の防水工事とプライマーへの対応

巧正株式会社は、八王子市を拠点に屋上防水・外壁塗装などの建物修繕を行う会社です。元請け一貫体制で、現地調査・見積・工程管理・完工後の点検までを当社が担当し、防水工事は協力職人と組んで施工します。

  • 現地調査で既存の防水の種類(ウレタン・塩ビシート・ゴムシート・アスファルトなど)と下地の状態を確認し、上に塗る防水材と組み合わせるプライマーを決めます
  • 既存のウレタン防水層の上に重ねる改修やトップコートの塗り替えでは、層間プライマーを使います。既存がシート防水やコンクリートの場合は、その下地に合うプライマーを選びます
  • この記事の4つの現場では、プライマーを塗る工程を写真で記録しました
  • 保証:屋上防水は平場10年・立上り5年。保証の内容は工事の内容に合わせて見積時にご説明します

東京都知事許可(般-7)第161006号。創業2014年4月、2023年10月に法人化し、累計1,000件超の工事を手がけてきました。見積書のプライマーや工程の中身が気になる段階でもご相談ください。

防水工事のご相談・現地調査のご依頼

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執筆・監修:巧正株式会社(外壁診断士・2級建築施工管理技士補 在籍)

出典・参考資料

巧正株式会社

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