八王子のビル屋上防水 部分補修の施工事例|膨れ・雨漏りを通気緩衝工法で
屋上の床に膨れがあり、下の部屋に時々雨漏りが出る。そんな相談を受けて、八王子市内の法人所有のビルで、2026年9〜10月に屋上の部分補修を行いました。屋上全体をやり直すのではなく、膨れと水回りのある範囲を切開して補修した事例です。
この記事では、当初の提案、切開して分かったこと、密着工法から通気緩衝工法へ仕様を変えた理由、手すり(フェンス)支柱の止水注入、工期、見積書の書き方を、施工写真と当社の見積書・説明資料の記録で順に紹介します。部材や工法の仕組みは、それぞれの解説記事にリンクしています。
先に結論をまとめます。
- 屋上の一部に膨れと雨漏りがあるときは、全面改修だけでなく、傷んだ範囲を切開して直す部分補修という選択肢があります
- この現場は当初、密着工法で見積もりました。切開すると想定より広く水が回り、排水口にも水の跡があったため、通気緩衝工法に変え、改修用ドレンを追加しました
- フェンスの支柱(見積書上は「手摺支柱」)は、根元に穴をあけると中から水が出ました。止水注入を3本に行い、注入後の穴は開けたままにしています
- 工期は9月24日の着工から10月15日の完工まで。途中に下地の乾燥と、仕様変更のご確認の期間が入っています
- 部分補修は「どこまで直し、何を後に回すか」を決める工事です。見積書では、範囲が広がったときの扱いと、見送った項目を確認します
工事概要|八王子市内の法人所有ビルの屋上部分補修
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建物 | 八王子市内のビル(法人所有)。屋上にネットとフェンスが立つ |
| 既存の防水 | ウレタン塗膜防水(約5年前に他社で施工) |
| ご相談の内容 | 屋上の床の膨れと、下の室内への雨漏り(時々発生) |
| 工事範囲 | 屋上の膨れ・水回りのある範囲(部分補修)と、フェンス支柱の根元 |
| 工事内容 | 既存防水の切開・撤去・乾燥/ポリマーセメント系下地調整材/ウレタン通気緩衝防水(プライマー・通気緩衝シート・ウレタン2層・トップコート)/改修用排水ドレン/支柱の止水注入(TS-RMグラウト工法) |
| 工期 | 2026年9月24日〜10月15日(写真の撮影記録による) |
| 保証 | 部分補修のため、保証の有無と内容は見積時にご説明(屋上防水の全面改修は平場10年・立上り5年) |
| 施工体制 | 元請けとして当社が現地調査・見積・工程管理を担当し、協力職人と施工 |
ご相談のきっかけと当初の提案|膨れと、時々出る雨漏り
ご相談は、屋上の床の膨れと、下の室内に時々出る雨漏りでした。屋上は約5年前に他社がウレタン防水を施工しています。現地を見たうえで、当社は8月の説明資料で、次の2つを雨漏りの原因の候補として挙げました。
- 既存のウレタン防水の下に、水分が入り込んでいる(膨れの原因)
- 屋上のフェンスの支柱の足元から、水が入っている

当初の提案は、膨れと水回りのある範囲だけを切開し、中を乾燥させてから防水をやり直す方法でした。切開して乾かした下地に防水層を直接密着させる「密着工法」で仕上げ、まわりの既存防水とつなげる計画でした。支柱は切開のときに穴をあけて確かめ、水が出た支柱に止水注入をする方針でした。止水注入は1本を想定し、ほかの支柱でも水が見つかった場合は別途ご相談としていました。
切開して分かったこと|水はネットの支柱付近と排水口まで回っていた
9月24日に着工し、膨れのある範囲の既存防水を切開して撤去しました。はがした下の層は茶色く変色しており、水が回っていたことが分かります。水の跡は、屋上に立つネットの支柱の付近まで広がっていました。

同じ日に、フェンスの支柱の根元にドリルで穴をあけると、中から水が出ました。支柱の中にたまった水が、雨漏りの入口の一つになっていたと考えられます。さらに、屋上の排水口(ドレン)のまわりにも、水が回った跡が見つかりました。
密着工法から通気緩衝工法へ|仕様を変えた理由
切開の結果を受けて、9月26日に変更後のお見積り、28日に変更前と変更後の比較表をお出ししました。比較表では、本来は水が回っている範囲の防水をすべて撤去するのが望ましいことをお伝えしたうえで、範囲を絞った補修として次の内容をご提案しています。
| 項目 | 当初の見積(8月12日) | 変更後の見積(9月26日) |
|---|---|---|
| 既存防水の切開・撤去・乾燥 | あり | あり(変更なし) |
| ポリマーセメント系下地調整材 | あり | あり(変更なし) |
| 防水の工法 | ウレタン密着工法(プライマー・ウレタン2層・トップコート) | ウレタン通気緩衝工法(通気緩衝シート張りを追加) |
| 改修用排水ドレン | なし | 追加(1か所) |
| 脱気筒の新設 | なし | 見送り(屋上に既存の脱気筒あり) |
| 支柱の止水注入 | 1本を想定 | 1本を想定(ほかの支柱で水が出た場合は別途) |
変更の理由は2つです。
- 通気緩衝シートを追加:水の回った範囲が想定より広く、乾燥させても下地に水分が残るおそれがあった。下地と防水層のあいだに湿気の逃げ道をつくり、膨れの再発を抑えるため
- 改修用ドレンを追加:排水口のまわりに水が回った跡があったため。既存の排水口に新しいドレンを差し込み、防水層と一体にして、排水口まわりの継ぎ目をなくす
見送ったもの:脱気筒の新設です。見積比較では、既存の脱気筒があること、脱気筒は防水層の上から後付けできることを挙げ、補修範囲が限られることもあって、水の跡があった排水口の対策を優先しました。
密着工法と通気緩衝工法の違いや、どちらを選ぶかの考え方は「ウレタン防水とは」の記事で解説しています。この現場では、ご確認をいただいてから10月6日にシートを張りました。
施工の流れを写真で|切開から完工まで
ここからは工程の順に紹介します。日付は写真の撮影記録によるものです。プライマー・シート張り・ウレタン防水・トップコートの写真は、部材の解説記事で同じ現場の写真を使って紹介しているため、ここでは一部にとどめます。
1. 既存防水の切開・撤去・乾燥(9月24日)
膨れと水回りのある範囲の既存防水を切開して撤去し、中を乾燥させます。切開した範囲の外側の既存防水は残し、新しい防水層とつなげます。乾燥のあと、切開した部分をポリマーセメント系の下地調整材で平らに整えました(この工程の写真は残っていません)。
2. 排水口まわりの既存防水をはがす(10月2日)
水の跡があった排水口は、立上り(壁)の下にある横向きの排水口です。改修用ドレンを差し込む前に、まわりの既存防水をはがして状態を確かめました。


見積比較では、既存の横向きの排水管にL型の改修用ドレンを差し込み、床と立上りの防水層と一体にする計画としました(取付の写真は残っていません)。改修用ドレンの仕組みや見積書での見方は「改修ドレン(改修用ドレン)とは」で解説しています。
3. 通気緩衝シートを張り、端部と継ぎ目を処理する(10月6日・8日)
10月6日にプライマーを塗って通気緩衝シートを張り、8日にシートの外周と継ぎ目を先に処理しました。フェンスの台座のまわりも、このときに処理しています。

シートの張り方、継ぎ目の決まり、脱気筒との関係は「通気緩衝シートとは」の記事で、この現場のプライマー・シート張り・ウレタン防水の写真とあわせて紹介しています。
4. ウレタン防水とトップコート(10月12日・15日)
シートの上にウレタン防水材を2層塗り重ねて防水層をつくり、10月15日にグレーのトップコートで仕上げました。トップコートは、紫外線などから防水層を守る仕上げの塗料です。
5. フェンス支柱の止水注入(穿孔9月24日・注入の写真は10月15日)
この現場の支柱は、屋上の金網フェンスの支柱です(見積書では「手摺支柱」)。9月24日に根元に穴をあけると中から水が出たため、支柱の中に樹脂モルタルを注入して下部を満たす止水注入(TS-RMグラウト工法)を行いました。見積書では1本を想定していましたが、切開の段階でほかの支柱にも水の回りが見つかり、3本に注入しました。注入後の穴は開けたままにしています。

支柱の中に水がたまる仕組み、注入の手順、穴を開けたままにする理由は「手すり支柱の根元からの雨漏り」の記事で、この現場の穿孔と注入の写真で解説しています。
6. 完工(10月15日)

着工前の写真で色が濃く見えていた床のあたりを含めて、トップコートで仕上げた範囲が今回の補修範囲です。補修範囲の外側は、既存の防水のままです。
工期|着工から完工まで約3週間、写真が残る作業日は6日
この現場は9月24日に着工し、10月15日に完工しました。写真が残る作業日は、9月24日・10月2日・6日・8日・12日・15日の6日です。9月24日から10月6日までのあいだには、切開した下地の乾燥と、仕様変更のお見積り・ご確認の期間が入っています。

部分補修は、切開してみないと水の回り方が分からない工事です。この現場のように、切開のあとに仕様を見直すことがあるため、工程の中に「確認と判断の日」が入ると考えておくと、工期の見通しが立てやすくなります。屋外の防水工事は、雨の日には作業を進められない点も日数に影響します。
見積書での書かれ方|部分補修の項目と単位
この現場の変更後の見積書(9月26日)の項目と単位は、次のとおりです。部分補修は面積が小さく範囲の形も現場ごとに違うため、防水の工程は「式」でまとめ、数えられるものは「箇所」「本」で書いています。
| 見積書の項目 | 規格・摘要(見積書の表記) | 単位 |
|---|---|---|
| 既存防水 切開・撤去・乾燥 | 膨れ・水回り部を切開し既存ウレタンを撤去、内部を乾燥 | 式 |
| ポリマーセメント系下地調整塗材 | 切開部の下地調整塗材塗布 | 式 |
| 通気緩衝シート張り | プライマー+通気緩衝シート(端部・継手処理含む) | 式 |
| ウレタン通気緩衝防水 | ウレタン2層+トップコート(X-1 通気緩衝工法) | 式 |
| 改修用排水ドレン設置 | - | 箇所 |
| 手摺支柱 止水注入(TS-RMグラウト工法) | 切開時に漏水が確認された支柱を穿孔しTS-RMグラウト注入・止水 | 本 |
| 副資材費・交通費 | 副資材・雑材料費+現場までの交通費 | 式 |
見積書の備考には、数量は現地調査に基づく想定であること、切開後に劣化の範囲が広がった場合やほかの支柱で漏水が見つかった場合は別途お見積りとなることを書きました。あわせて、一部だけの補修でも手間と材料は一定量かかるため、全面改修に比べて面積あたりの単価は割高になることも記載しています。
部分補修の金額を左右するのは、切開・撤去する範囲の広さ、下地の乾燥と調整の手間、改修用ドレンの数、止水注入の本数、足場の要否です。この現場は屋上の床から作業でき、見積書に足場の項目はありません。
部分補修の見積書を比べるときは、工法名(密着か通気緩衝か)、切開・乾燥・下地調整が含まれているか、範囲が広がったときの扱い、見送った項目(この現場では脱気筒の新設)が書かれているかを確認します。
全面改修か部分補修か|オーナー・法人の判断ポイント
屋上全体の防水をやり直す全面改修は、屋上全体の傷みをまとめて手当てできます。部分補修は、傷んだ範囲を限って直すため工事の規模を抑えられる一方、補修範囲の外の防水はそのまま残ります。この現場の経験から、部分補修を選ぶときの判断の材料を整理します。
- 傷みが一部に集まっているか:膨れや水回りが屋上の一部に限られ、ほかの範囲の防水がしっかりしているなら、部分補修を検討できる
- 既存の防水の年数:この現場は既存防水が約5年前の施工だった。全体が寿命に近い場合は、部分補修を繰り返すより全面改修と比べて考える
- 水の入口が複数ないか:床の防水だけでなく、支柱の根元や排水口からも水が入ることがある。入口ごとに手当てしないと、補修しても雨漏りが残る
- 切開後の変更の扱い:切開してみて範囲や仕様が変わる可能性と、そのときの見積の出し方を事前に確認しておく
- 何を先に直し、何を後に回すか:この現場では排水口の対策を優先し、後から付けられる脱気筒は見送った。予算の中での優先順位を、理由とあわせて説明を受ける
屋上全体を通気緩衝工法でやり直した全面改修の例は「八王子のビル屋上防水 施工事例」で紹介しています。部分補修と全面改修の工程の違いを比べる材料になります。既存のウレタン防水の上に重ねられるかの判断の順番は『ウレタン防水の上にウレタン防水できる?』にまとめています。
屋上の部分補修のよくある質問
Q. 屋上の防水は、一部だけ補修することもできますか?
できます。この記事の現場では、膨れと水回りのある範囲だけを切開し、乾燥・下地調整のあとに防水をやり直しました。補修範囲の外の防水はそのまま残るため、傷みが一部に集まっているか、ほかの範囲の防水がしっかりしているかを見て判断します。
Q. 部分補修は全面改修より安くなりますか?
工事の規模は小さくなりますが、一部だけの補修でも手間と材料は一定量かかるため、面積あたりの単価は全面改修より高くなります。この現場の見積書にも、そのことを備考に書きました。総額だけでなく、補修範囲の外に残る防水の状態とあわせて比べます。
Q. 工事の途中で仕様や金額が変わることはありますか?
切開してみて、水の回り方が想定と違うことがあります。この現場では、変更後のお見積りと、変更前と変更後の比較表をお出しし、ご確認をいただいてから工事を進めました。当初の見積書にも、切開後に範囲が広がった場合は別途お見積りとなることを書いていました。
Q. 脱気筒を付けなくても大丈夫ですか?
この現場の屋上には既存の脱気筒がありましたが、もとの防水層のために設けられたもので、新しく張ったシートの通気層の出口として設けたものではありません。脱気筒は防水層の上から後付けできるため、今回は水の跡があった排水口の対策を優先しました。脱気筒の数や位置の考え方は、通気緩衝シートの記事で解説しています。脱気筒の形や交換の流れは『脱気筒とは』の記事で紹介しています。
Q. 補修した範囲と残した防水の境目から、水は入りませんか?
境目は、新しい防水層と既存の防水がつながる部分なので、施工と点検で特に気をつける場所です。この現場では、平場の防水材を塗る前に、シートの外周と継ぎ目を先に処理しました(工程3の写真)。完工後の点検で、境目に浮きや切れがないかを確かめます。
Q. フェンスや手すりの支柱からの雨漏りも、一緒に直せますか?
この現場では、床の防水の補修と同じ工事の中で、支柱の止水注入を行いました。根元に穴をあけると中から水が出たため、支柱の中に樹脂モルタルを注入し、3本を止水しています。床の防水だけを直しても、支柱の中にたまった水は残るため、入口ごとに確かめます。
Q. 工期はどのくらいかかりましたか?
9月24日の着工から10月15日の完工まで、写真が残る作業日は6日でした。途中に下地の乾燥と、仕様変更のお見積り・ご確認の期間が入っています。補修の範囲、下地の乾き具合、天候で日数は変わります。
巧正の屋上防水・部分補修への対応
巧正株式会社は、八王子市を拠点に屋上防水・外壁塗装などの建物修繕を行う会社です。元請け一貫体制で、現地調査・見積・工程管理・完工後の点検までを当社が担当し、防水工事は協力職人と組んで施工します。
- この記事の現場では、切開して分かった状況に合わせて仕様を見直し、変更前と変更後の比較表でご説明しました
- 見積書には、範囲が広がった場合やほかの支柱で漏水が見つかった場合の扱いを記載しました
- 保証:屋上防水(全面改修)は平場10年・立上り5年。部分補修や止水注入の保証の有無は見積時にお伝えします
- この記事の現場では、工程ごとに施工写真を記録しました
東京都知事許可(般-7)第161006号。創業2014年4月、2023年10月に法人化し、累計1,000件超の工事を手がけてきました。屋上の膨れや雨漏りで、全面改修か部分補修か迷っている段階でもご相談ください。
屋上の膨れ・雨漏りのご相談・現地調査のご依頼
執筆・監修:巧正株式会社(外壁診断士・2級建築施工管理技士補 在籍)
出典・参考資料
- 当社の工事記録:見積書(2026年8月12日・9月26日)、見積比較(2026年9月28日)、工法説明資料(2026年8月)、施工写真(2026年9月24日〜10月15日撮影)
- コニシ株式会社「TS-RMグラウト 工法」(ボンド商品情報) https://www.bond.co.jp/bond/arch/exterior/flow12.html
八王子の外壁塗装・屋根工事 よくあるご質問
- Q. 巧正の外壁塗装の保証期間はどれくらいですか?
- 採用塗料グレードによって異なります。無機塗料(ダイナミックMUKI)・ラジカル制御塗料(ダイナミックTOP)は最長10年保証、シリコン塗料は5〜7年保証です。
- Q. 八王子市の補助金は使えますか?
- 八王子市には住宅関連の助成金制度があります。詳しくは八王子市の外壁塗装助成金まとめをご覧ください。
- Q. 相見積もりは可能ですか?
- はい、相見積もり大歓迎です。しつこい営業は一切いたしません。外壁診断士による写真付き無料診断を実施しています。
- Q. 雨漏りしているのですが対応可能ですか?
- はい、対応可能です。原因特定が最も重要なので、外壁診断士による現地調査と必要に応じて散水試験を実施し、根本原因を特定したうえで最適な工法をご提案します。
- Q. 八王子市以外のエリアでも対応してもらえますか?
- 八王子市内全域・多摩地区(日野市・多摩市・立川市・昭島市・あきる野市ほか)を対応エリアとしています。お問い合わせフォームからご相談ください。
