改修用ドレンとは|どの部位に設置され、見積書のどこに出るか
屋上の防水工事の見積書に「改修用ドレン設置」という行が出てきます。一方で、同じ建物の鉄部塗装の見積には「ドレン金物」という行が並んでいます。同じドレンなのに、なぜ扱いが分かれるのか。八王子・多摩でマンションやビルの大規模修繕を行う巧正株式会社(創業12年・累計1,000件超)が、見積書のどこを見ればよいかをご説明します。
結論:ドレンは見積書の2つの工種にまたがって出てきます
改修用ドレンは、既存の排水口に差し込んで、新しい防水層と一体化させる部材です。既存のドレンを壊さずに、防水層の端末を処理できます。防水改修工事の側で「改修用ドレン設置」として計上される部位と、鉄部塗装工事の側で「ドレン金物」として塗装される部位に分かれるのが一般的です。どちらになるかは部位ごとに決まり、その判断基準が見積書に書かれることはありません。片方の工種だけを見ていると、もう片方の抜けに気づけません。
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改修用ドレンとは|既存の排水口に差し込む部材
ドレンとは、屋上やバルコニーの水を集めて縦樋へ流す排水口のことです。建物の竣工時に躯体へ埋め込まれていて、簡単には取り外せません。

防水をやり直すとき、難しいのがこのドレンの周りです。新しい防水層を、既存のドレンの内側までどうつなぐかという問題があります。ここで使うのが改修用ドレンです。
改修用ドレンは、既存の排水口に差し込む形の部材です。差し込んだ先端にツバ(鍔)が付いていて、そのツバの上に新しい防水層を重ねて一体化させる考え方です。既存のドレン本体を斫り取る必要がありません(形状や寸法は製品と工法の仕様によって異なります)。

見積書では、この項目の規格欄に「撤去跡下地補修・整形共」と書かれることがあります。既存の防水層の端末を撤去した跡を補修し、形を整えたうえで設置する、という意味です。ドレンを置くだけの作業ではありません。
なぜドレン周りは弱点になりやすいのか
屋上の漏水は、広い平場の真ん中よりも端部と貫通部で起きやすいとされています。ドレンはその両方の条件を持っています(防水工事・雨漏り修理もあわせてご覧ください)。

- 水が集まる場所…屋上に降った雨は、勾配に沿って最後にここへ集まります。滞留する時間も長くなります
- 防水層の端末になる場所…平場の防水層は、ドレンの手前で終わります。端末は納まりの精度が求められる部分です
- 異種の材料が接する場所…金属のドレンと防水層の材料は動き方が違います。境目に負担がかかります
- 詰まりやすい場所…落ち葉や土砂が溜まると水位が上がり、立上りの防水の高さを越えることがあります
下の写真は、私たちが施工した八王子市内のビルの屋上です。ドレンの周りを斫り、モルタルで成形し直しているところが写っています。防水をやり直す前に、下地の形をつくり直します。

なお「斫る」のはドレン本体ではなく、その周りの古い防水層と傷んだ下地です。ドレン本体は残したまま、そこへ改修用ドレンを差し込みます。
ドレンは見積書の2つの工種にまたがります
ここがこの記事の核心です。大規模修繕の見積書では、ドレンに関する項目が2つの工種にまたがって計上されます。

| 改修用ドレンを設置 | ドレン金物として塗装 | |
|---|---|---|
| 見積の工種 | 防水改修工事 | 鉄部等塗装改修工事 |
| 項目名 | 改修用ドレン設置 | ドレン金物 |
| 規格欄 | 撤去跡下地補修・整形共 | 「ケレン・変性エポキシ樹脂系塗料2回」など (空欄のこともあります) |
| 入りやすい部位 | 屋上・ルーフバルコニーなど 防水層をやり直す部位 | 共用廊下・バルコニー・室外機置場など |
| やっていること | 新しい防水層と一体化させる | 既存の金物に錆止めを塗る |

見積書は工種ごとにページが分かれているため、この2つは離れた場所に出てきます。屋上防水のページだけを見て「ドレンは入っている」と判断すると、共用廊下やバルコニーの金物が抜けていても気づけません。逆もまた同じです。
改修用ドレンが入る部位
改修用ドレンは、防水層をやり直す部位に入ります。屋上、ルーフバルコニー、大庇など、防水層をつくり直す区分です。

見積書では、その部位の防水一式(既存撤去・下地補修・防水層)と同じ区分に並びます。ドレンだけが別のページに単独で出てくることはありません。区分のまとまりで見てください。
あわせて確認したいのが立上りの天端の処理です。屋上の区分には、改修用ドレンのほかに「立上り・天端既存防水層撤去(端末押え金物撤去・仮防水共)」や「端末押え金物設置(アルミ製・シーリング共)」といった行が並びます。

防水層が切れやすいのは、平場の真ん中ではなく端部です。ドレンと立上りの天端は、その端部の代表格になります。この2つの行がそろっているかを見てください。
ドレン金物として塗装で処理される部位
一方、共用廊下・バルコニー・室外機置場などのドレンは、鉄部塗装の工種で「ドレン金物」として計上されるのが一般的です。数でいえば、こちらのほうがはるかに多くなります。

規格欄には「ケレン・変性エポキシ樹脂系塗料2回」と書かれることがあります。変性エポキシ樹脂系の塗料は、錆止めとして使われるものです。ドレンは水が集まって滞留する場所で、金物が濡れている時間がいちばん長くなります。錆止めの性能が問われる部位に、実績のある塗料が当てられているわけです。
ただし同じ「ドレン金物」でも、部位によっては規格欄が空欄のまま並ぶことがあります。その場合は「この行はどの塗料で何回塗る想定ですか」と確認してください。鉄部塗装の規格欄の読み方は鉄部塗装の見積の読み方で詳しく扱っています。
なお、バルコニーのように床を長尺シートに貼り替える部位では、シートの端末がドレンの手前で納まります。そのためドレン本体を交換しなくても納まりが成立することが多く、塗装での処理になりやすい部位です。
「防水をやり直す部位=必ず改修用ドレン」ではありません
ここは誤解されやすい点です。「防水をやり直す部位にはすべて改修用ドレンが入る」とは言えません。防水層をつくり直す部位なのに、ドレンは鉄部塗装側の「ドレン金物」で処理されている、という組み合わせが実際に出てきます。

改修用ドレンを入れるかどうかは、既存のドレンの形状と口径、金物の傷み方、その部位の水量、新しい防水の納まりから決まります。見積の段階でこれらが書かれることはなく、現地で既存を確認したうえで判断する項目です。
既存の金物が健全で納まりを確保できる、水量に対して内径を絞りたくない、といった理由で塗装のみとする判断もあります。いずれにしても、見積書の一行を見るだけでは判断できません。
お伝えしたいのは、ここが管理組合として確認する価値のあるポイントだということです。「防水をやり直すこの部位に、なぜ改修用ドレンが入っていないのですか」。この問いには、現地で既存のドレンを見ていなければ答えられません。私たちも、部位ごとにその判断をご説明したうえで数量表をお出ししています。
改修用ドレンの設置工程
ここから先は、改修用ドレンを設置する一般的な手順です(使用する部材の形状・寸法は、既存のドレンの口径と新しい防水の仕様によって決まります)。

1. 既存の防水層の端末を撤去する
ドレン周りの古い防水層と、詰まっていた土砂や落ち葉を取り除きます。既存のストレーナー(ゴミ受け)も外します。ここで既存ドレンの内側の状態が初めて見えます。
2. 撤去跡の下地を補修し、形を整える
規格欄に書かれる「撤去跡下地補修・整形共」がこの工程です。斫った部分をモルタルで埋め戻し、水が流れる勾配をつくり直します。ここが甘いと、新しい防水層の下に水が滞留します。
3. 改修用ドレンを差し込む
既存の排水口に改修用ドレンを挿入します。差し込む深さと、ツバが下地にしっかり密着するかを確認します。浮いたまま防水を被せると、そこが水の通り道になります。
4. 新しい防水層をツバの上まで重ねる
平場の防水層を、改修用ドレンのツバの上まで連続させます。この重ね代が、ドレン周りの防水が切れないかどうかを決めます。アスファルト系ならその材料を、ウレタン塗膜防水ならその塗膜を、それぞれツバの上へ納めます。
5. ストレーナーを取り付ける
ゴミ受けを取り付けて完了です。ここが付いていないと落ち葉がそのまま縦樋へ入り、詰まりの原因になります。点検のときに外れていないか見てください。
改修用ドレンを入れると排水口は少し狭くなります
改修用ドレンは既存の排水口の内側に入るため、内径がその分だけ小さくなります。ここは設計上、あらかじめ検討しておくべき点です。

もともとの排水能力に余裕がある建物では問題になりませんが、ドレンの数が少ない屋上や、勾配が緩い屋上では、排水の検討が必要になることがあります。近年の短時間強雨を考えると、確認しておく価値があります。
また、既存のドレンが著しく腐食している、周囲の躯体が欠損している、といった場合は改修用ドレンでは納まらず、躯体からの造り直しになることがあります。これは足場を架けて既存を撤去してみるまで分かりません。
- 排水能力の確認…ドレンの数と屋上面積に対して、内径が小さくなっても足りるか
- 既存ドレンの腐食…差し込む相手が健全か。撤去してはじめて分かる
- 周囲の躯体の欠損…ツバを受ける下地が作れるか
- 縦樋側の詰まり…ドレンを直しても、その先が詰まっていれば水は流れない

脱気筒とセットで考える
見積書では、屋上の区分に「脱気筒取付 ステンレス製」が改修用ドレンのすぐ近くに並ぶことがあります。

ドレンが水を外に出す部材、脱気筒が下地の水蒸気を外に出す部材です。どちらも防水層に穴を開ける部材なので、納まりの精度が仕上がりを左右します。脱気筒と工法の関係はマンション大規模修繕の屋上防水工事で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。
保証の表記は部位ごとに違います
防水改修の見積では、区分の見出しに保証年数が書かれていることがあります。そして、その表記は部位によって違います。

分かれ目は「防水層をつくり直すのか」「既存の上に保護塗装をかけるだけなのか」です。たとえば斜壁のアスファルトシングル部に保護塗料を塗る仕様は、防水層をつくり直す工事ではないため、保証が付かない扱いになることがあります。
見積書を見るときは、金額の前にこの区分を確認してください。「屋上防水◯年保証」と一括りに書かれていても、実際には保証が付かない部位が混ざっていることがあります。
参考までに、巧正の自社保証は屋上防水が平場10年・立上り5年、外壁塗装が塗膜10年です。見積書に書かれた保証区分とは別のものになります。実際の保証は工事の範囲によって変わりますので、お見積りの際にご説明します。
「どの部位に改修用ドレンが入るのか」から説明します
巧正では現地を見て、部位別・工法別の数量表と図面をお出しします。
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見積書で確認する3か所
ドレンに関する項目は、見積書のなかで2つの工種に分かれて出てきます。片方しか見ていないと、抜けに気づけません。

| 確認する場所 | 見るポイント | 抜けているとどうなるか |
|---|---|---|
| 防水改修の工種 | 「改修用ドレン設置」がどの部位に入っているか | 防水をやり直す部位に入っていなければ、その理由を確認する |
| 鉄部塗装の工種 | 「ドレン金物」の行があるか(共用廊下・バルコニー・室外機置場など) | 防水改修の工種に入っていない部位の金物が、錆びたまま残る |
| 規格・仕様欄 | 「撤去跡下地補修・整形共」に相当する記載があるか | ドレンを置くだけの工事になり、下地の勾配が直らない |
1つ目は防水改修の工種に「改修用ドレン設置」がどの部位に入っているか。屋上だけでなく、ルーフバルコニーや大庇なども見ます。防水をやり直す部位なのに入っていなければ、その理由を聞いてください。
2つ目は鉄部塗装の工種に「ドレン金物」の行があるか。共用廊下・バルコニー・室外機置場などのドレンです。ここが抜けていると、防水改修の工種に入っていない部位の金物が、錆びたまま残ります。
3つ目は規格欄に「撤去跡下地補修・整形共」に相当する記載があるか。ドレンを置くだけの単価と、下地を作り直す単価では中身が違います。
放置するとどうなるか
ドレン周りを先送りした場合に起きることを、順に並べます。

まず詰まります。ストレーナーが失われていたり、落ち葉が溜まったままだと、排水口の断面が塞がれます。雨が降っても水が引かない状態になります。
次に水位が上がります。屋上に水が溜まると、立上りの防水の高さを越えることがあります。平場の防水が健全でも、立上りを越えられると水の入口になります。
そして下地が濡れ続けます。防水層の下に水が回ると、乾かないままコンクリートが濡れ続けます。中性化が進み、鉄筋が錆びれば爆裂につながります。ドレンの詰まりが、最終的に躯体の問題になります。
日常でできる対策はストレーナーの掃除です。落ち葉の多い季節と、台風の前後に見てください。管理員さんの日常清掃の項目に入れている管理組合もあります。

ドレンのように工事区分をまたぐ項目をどう追うかは、大規模修繕の見積書の見方で、総括表から順に確認する手順としてまとめています。
よくあるご質問
Q. 改修用ドレンは必ず入れるものですか?
必ずではありません。防水層をやり直す部位でも、ドレン金物の塗装で処理されることがあります。既存のドレンの形状、水量、金物の状態などによって変わります。見積書でどの部位に入っているかを確認し、入っていない部位についてはその理由を聞くのが確実です。
Q. 既存のドレンを丸ごと交換しないのはなぜですか?
既存のドレンは竣工時に躯体へ埋め込まれているため、丸ごと外すには周囲のコンクリートを斫ることになります。工事が大がかりになり、躯体を傷めます。改修用ドレンは、それを避けるための部材です。ただし既存の腐食がひどい場合は、造り直しになることがあります。
Q. 排水口が狭くなると、雨のときに溢れませんか?
内径は小さくなります。もともと余裕のある設計であれば問題になりませんが、ドレンの数が少ない屋上や勾配の緩い屋上では、事前に確認しておくべき点です。工事のご相談の際に、屋上面積とドレンの数をあわせて見ています。
Q. バルコニーのドレンも交換したほうがいいですか?
床を長尺シートに貼り替える部位では、シートの端末がドレンの手前で納まるため、金物の塗装で処理されることが多いです。ただし金物の状態によって個別の判断になりますので、現地を見たうえでお答えします。
Q. ドレンの工事だけを単独で頼めますか?
雨漏りが起きている場合の応急的な対応としては可能です。ただし改修用ドレンは新しい防水層と一体で機能する部材なので、周囲の防水が寿命を迎えているなら、その部位の防水改修とあわせて行うほうが結果的に無駄がありません。まず現地を見せてください。
Q. 脱気筒とストレーナーは何が違いますか?
脱気筒は下地に残った水蒸気を外に逃がす部材、ストレーナーはドレンに付けるゴミ受けです。役割がまったく違います。工法との関係は屋上防水工事の記事で解説しています。
八王子・多摩で屋上の排水にお困りの方へ
巧正株式会社は、八王子市大和田町を拠点に創業12年・累計1,000件超の実績で、マンション・ビル・工場の大規模修繕を元請け一貫体制で行っています。建設業許可は東京都知事許可(般-7)第161006号です。
ドレンは数も種類も部位でばらばらです。まず現地を見て、どの部位に改修用ドレンが入り、どこがドレン金物の塗装になるのかを、部位別の数量表でお出しします。他社の見積書をお持ちの場合、防水と鉄部塗装の両方にドレンの行があるかを一緒に確認します。
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〒192-0045 東京都八王子市大和田町6-19-8 巧正株式会社
執筆・監修:巧正株式会社 施工管理部(外壁診断士・2級建築施工管理技士補(仕上げ)在籍)|八王子市内 累計1,000件超の施工実績 建設業許可:東京都知事許可(般-7)第161006号
本記事は、八王子・多摩地域での大規模修繕の実務にもとづいて、改修用ドレンと見積書の読み方をまとめたものです。特定の物件の数量・金額は掲載していません。
