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ALCとは?特徴・メリットと外壁塗装・シーリング・防水のポイント

ALC(エーエルシー)は、工場・倉庫・鉄骨造のビルやマンション、一部の戸建てで広く使われている外壁材です。見積書や設計図に「ALC」「ALC造」と書かれていて、何のことか調べている方も多いと思います。

この記事では、ALCとは何かをALC協会とメーカーが公開している資料をもとに整理し、そのうえで「ALCの外壁・屋上では、なぜ塗装とシーリングと防水が前提になるのか」を、八王子で外装修繕の元請けをしている巧正が、当社が施工した八王子市内の収益ビル(S造・ALC外壁)の工程写真つきで解説します。

この記事でわかること

  • ALCの読み方・正式名称・原料・作り方と、JIS規格(JIS A 5416)
  • ALCパネルの厚さ・寸法・用途と、公開されている物性値(密度・熱伝導率・耐火・遮音)
  • ALCに「吸水性」があり、塗装とシーリングで守る前提の材料であること
  • ALC外壁の劣化サイン、塗装の工程、目地シーリングの考え方、屋上防水の注意点
  • 塗り替えを検討するときに確認しておきたいこと(よくあるご質問つき)
目次

ALCとは?読み方と正式名称(軽量気泡コンクリート)

ALCは「エーエルシー」と読みます。正式名称はAutoclaved Lightweight aerated Concrete(オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート)で、日本語では「軽量気泡コンクリート」、製品としては「ALCパネル」と呼ばれます。ALC協会の資料では、1920年代中頃にスウェーデンで開発され、1962年に製造技術が日本へ導入、1963年に国内で販売が始まったと説明されています(出典:ALC協会「ALCパネル?」)。

主原料は珪石・セメント・生石灰・アルミニウム粉末です。アルミ粉末の発泡作用で原料が約2倍に膨らみ、ある程度固まったところで切断し、オートクレーブ(高温高圧の蒸気釜)で約180℃・10気圧・約10時間養生して作られます。内部には無数の気泡が閉じ込められ、「トバモライト」という結晶が強度と耐熱性を与えています(出典:ALC協会「ALCパネル基礎知識」2024年3月改訂)。

ALCパネルはJIS A 5416「軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)」で規定された工業製品です。JIS A 5416は2025年5月20日に改正されています(出典:ALC協会トップページのお知らせ)。パネルの内部には特殊防錆処理した鉄筋マットやメタルラスが補強材として組み込まれ、外壁・間仕切壁・床・屋根など使用部位に応じて配筋されています(出典:ALC協会「ALCパネル?」)。

ALCパネルの種類・厚さ・寸法と使われている建物

ALCパネルは厚さで「厚形」と「薄形」に分かれます。ALC協会の資料にもとづいて整理すると、次のとおりです。

区分厚さ主な用途・使われる構造
厚形パネル75mm以上(基礎知識の表では75〜200mm)鉄骨造・鉄筋コンクリート造などの耐火建築物の外壁・間仕切壁・屋根・床
薄形パネル35mm以上75mm未満(35・37・50mmなど)50mmは鉄骨造・木造の建築物に、35・37mmは主に木造に使用
寸法(共通)長さ600〜6,000mm、幅300〜600mm形状は一般パネルとコーナーパネル、表面加工の有無で平パネルと意匠パネル

出典:ALC協会「種類と規格」「ALCパネル基礎知識」。同資料では、使われている建物の例として高さ31m以下のビル、倉庫・工場、マンションの間仕切り、タワーマンションの共用廊下などが挙げられています。八王子・多摩で当社がALC外壁の相談を受けるのも、鉄骨造の工場・倉庫・事務所ビル・賃貸マンションが中心です。

検索でよく見る「ALC造」という言い方は、建築基準法上の構造種別ではありません。多くの場合、鉄骨造(S造)の躯体にALCパネルを外壁として取り付けた建物を指して使われています。ALCは構造体ではなく「外壁材・床材・屋根材」であり、建物を支えているのは鉄骨や鉄筋コンクリートの躯体です。

ALCの特徴とメリット:軽い・燃えにくい・熱と音を伝えにくい

ALCが選ばれる理由は、軽さと耐火・断熱・遮音のバランスにあります。数値はメーカーが公開している物性値を使います。下表は旭化成建材が公表している厚形ALCパネル「ヘーベル」の値で、製品により差があります。

項目公表値(ヘーベル)補足
密度(絶乾)500kg/m³JIS規格値は450を超え550未満。気乾状態で600kg/m³、構造計算用の質量は650kg/m³
圧縮強度3.92N/mm²(気乾)JIS規格値は3.0N/mm²以上
熱伝導率0.17W/(m・K)(気乾)省エネ基準などでは0.19W/(m・K)として扱われる
透過損失(遮音)38dB100mm厚・1,000Hz時
一面吸水率12vol%下部1cmを21日間水中に浸漬した試験値。全面吸水率は33vol%
乾燥収縮率0.05%以下JIS規格値も0.05%以下

出典:旭化成建材「ヘーベル 物性値」。ALC協会は、内部の微細な気泡によって断熱性が普通コンクリートの約10倍とされること、無機質の原料でできた不燃材料で火災時に有毒ガスや煙を出さないこと、軽量でありながら音を伝えにくいことを特徴として挙げています(出典:ALC協会「ALCパネル?」)。

耐火性能は厚さで決まります。ALC協会加盟各社の連名で取得している国土交通大臣認定では、外壁はパネル厚50mm以上で1時間耐火、床は100mm以上で1時間・120mm以上で2時間、鉄骨柱・梁の壁付き被覆は35mm以上で1時間・50mm以上で2時間・75mm以上で3時間とされています(出典:ALC協会「防耐火構造」)。

  • 軽い:気乾で600kg/m³という密度のため、鉄骨造の外壁として躯体への負担が小さい
  • 燃えにくい:不燃材料で、厚さに応じた耐火構造の認定・告示仕様がある
  • 熱を伝えにくい:気泡が断熱層として働き、ALC協会は空調のランニングコストの抑制や結露の防止に貢献すると説明している
  • 地震に追従する:縦壁ロッキング構法では、パネル1枚ごとが面内で微小回転して躯体の層間変形に追従する

ALCの弱点:吸水性があり「仕上げの塗装が前提」の材料

ALCの最大の注意点は吸水性です。ALC協会の資料には「ALCパネルには吸水性があるため仕上げの塗装が必要です」と明記されています。気泡を抱えた多孔質の材料なので、素地のまま雨にさらすと水を含み、外壁では漏水や耐久性の低下、寒冷地では凍害につながるおそれがあると説明されています(出典:ALC協会「ALCパネル基礎知識」「ALCパネルの仕上げおよび防水」第9版)。

同じ資料では、ALCの表面強度が低く欠けやすいこと、両面を密閉する仕上げを避けること(放湿性・通気性の確保)、モルタル塗りや石張りのような重い仕上げを避けることも挙げられています。つまりALCは「本体の性能」と「塗膜・シーリング・防水層」がセットで初めて外壁として成立する材料です。

八王子のALC外壁の断面で塗膜と目地シーリングの2層の防水を示した図解
図解:ALC外壁の防水は塗膜と目地シーリングの2層。どちらかが切れるとALC本体が水を吸い始めます

この性質は、RC(鉄筋コンクリート)の外壁と大きく違う点です。RCも塗装やシーリングで保護しますが、ALCは気泡構造のぶん水を含みやすく、目地の数も多いため、塗膜とシーリングの状態が建物の耐久性を左右します。ALC協会も「ALCの耐久性は外壁仕上げ材の性能に大きく左右される」として、仕上げ材の耐久性に見合った期間での診断とメンテナンスを求めています。

比較項目ALCパネル外壁RC(鉄筋コンクリート)外壁
役割外壁材(非構造)。躯体は鉄骨造などが支える外壁そのものが構造躯体を兼ねることが多い
重さ気乾600kg/m³(メーカー公表値)ALCより重い
水との関係吸水性があり、塗装で保護することが前提吸水はするが、ALCほど多孔質ではない
目地パネルごとに目地があり、シーリングの延長が長い打継ぎ・誘発目地など、目地は限られる
保護の要塗膜・目地シーリング・サッシ廻り・笠木塗膜・ひび割れ補修・鉄筋の防錆

ALC外壁の劣化サイン:目地・塗膜・開口部・笠木の4か所を見る

ALC外壁の点検は、水の入り口になりやすい順に見ると整理しやすくなります。当社が現地調査で確認しているのは次の4か所です。

  1. 目地のシーリング:痩せ(目地の中で凹む)、ひび割れ、パネルからの剥離。ALCは目地の総延長が長いので、1本でも切れていれば周囲も同じ時期に劣化していると考えます
  2. 塗膜:チョーキング(手でこすると白い粉がつく)、膨れ、剥がれ、色あせ。塗膜が働かなくなるとALC本体が水を吸い始めます
  3. サッシ廻り・貫通部:窓枠と外壁の取合いのシーリング切れ。ALC協会の資料でも、サッシ下部の水切りとの取合いは充填不足になりやすい部位とされています
  4. パラペット・笠木:屋上やバルコニーの立上りの天端。笠木のジョイントや固定部から水が入ると、ALCの小口(切断面)から吸水します
八王子の建物のシーリングの劣化段階4ステップと打ち替えの目安の図解
図解:シーリングの劣化段階。ALC外壁では「痩せ・ひび割れ」の段階で打ち替えを計画すると、ALC本体への吸水を防ぎやすくなります

ひび割れについては、目地に沿った塗膜の割れとALCパネル本体の割れを分けて見ます。パネル本体の割れは、ひび割れの幅と位置(開口部の隅、取付け金物の周辺など)で補修方法が変わります(ひび割れ補修の考え方は末尾の関連記事にまとめています)。原因が建物の動きにある場合は、塗装だけで止めようとせず、目地の設計(幅・深さ・2面接着)を見直します。

八王子の建物でシーリングが使われている箇所(外壁の目地・サッシ廻り・貫通部)の図解
図解:シーリングが使われている箇所。ALC外壁ではパネル目地に加えて、サッシ廻り・配管の貫通部・笠木の取合いが点検対象になります

ALC外壁の塗装:八王子市内の収益ビル(S造・ALC外壁)の工程を写真で解説

ここからは、当社が元請けとして施工した八王子市内(八王子駅周辺エリア)の収益ビル(3階建て・S造・ALC外壁)の工程です。外壁塗装・目地シーリング・屋上と3階バルコニー・階段の防水を一度の足場でまとめて行い、契約総額は税込585万円でした(オーナー様のご意向によりビル名・詳細住所は非公開)。ALC外壁の塗装は、一般的な外壁塗装と同じく「洗浄→シーリング→下塗り→中塗り→上塗り」の順ですが、ALCではシーリングと下地調整(下塗り)の比重が大きいのが特徴です。

八王子市内の収益ビル(S造・ALC外壁)の高圧洗浄|巧正の施工現場
工程1:高圧洗浄(八王子市内の収益ビル・S造・ALC外壁)。汚れ・旧塗膜の粉・カビを洗い流し、塗料が密着する下地に整えます。ALCは吸水するため、洗浄後は十分に乾燥させてから次の工程に進みます
八王子市内の収益ビル(S造・ALC外壁)の目地シーリング打ち替え|巧正の施工現場
工程2:目地シーリングの打ち替え(同ビル)。劣化したシーリングを撤去し、プライマーを塗ってから新しいシーリング材を充填します。塗装の前に水の入り口をふさぐ工程です
八王子市内の収益ビル(S造・ALC外壁)の下塗り|巧正の施工現場
工程3:下塗り(同ビル)。吸い込みの多いALCに下塗り材を塗り、上塗りとの密着を確保します。下地の状態によってシーラーや下地調整塗材を使い分けます
八王子市内の収益ビル(S造・ALC外壁)の中塗り|巧正の施工現場
工程4:中塗り(同ビル)。規定の塗布量を守って塗り重ね、防水と耐候のための膜厚をつくります
八王子市内の収益ビル(S造・ALC外壁)の上塗り仕上げ|巧正の施工現場
工程5:上塗り(同ビル)。中塗りと同じ塗料をもう1回重ねて仕上げます。色ムラの確認と塗り残しの点検をしてから足場を外します
八王子市内の収益ビル(S造・ALC外壁)の外壁塗装完了後の外観|巧正の施工現場
施工完了(同ビル)。ALC外壁の塗膜と目地シーリングを同時に更新し、建物全体を雨から守る状態に戻しました。この建物の費用内訳は末尾の実録記事で公開しています

ALCの下地調整と塗料選びで気をつけていること

ALC面の下地調整は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版に準拠した仕上塗材メーカーの標準仕様書でも「清掃のうえシーラーを全面に塗る。屋外では仕上塗材製造所の仕様により下地調整塗材C-1またはEを全面塗付」と整理されています(出典:菊水化学工業の標準仕様書。ALCパネル面の下地調整の行を含む仕様書の一例)。ALC協会の資料も、仕上塗材の場合はJIS A 6916(建築用下地調整塗材)とJASS 23にもとづく下地調整が必要としています。

塗料は、ALC内部の湿気を逃がせる透湿性と、目地やひび割れの動きに追従する柔軟性の両方を見ます。ALC協会の資料では、防水形単層弾性の仕上塗材は透湿性が比較的低いとされ、両面を密閉する仕上げは避けるよう注意されています。

なお旭化成建材は、住宅用の薄形ALC「ヘーベルパワーボード」向けに純正塗料を用意しており、耐候性20年の塗料は約20年、30年の塗料は約30年を塗り替え時期の目安と案内しています(本州地方の気象条件が前提。出典:旭化成建材「ヘーベルパワーボード純正塗料」)。これは住宅用パネルに純正塗料を規定どおり施工した場合の目安で、ビル・工場の厚形パネルの塗り替え周期は、使う一般塗料の期待耐用年数と劣化診断で決めます。

当社では、塗料のグレードは建物の用途と次回の修繕計画から逆算して決めます。工場・倉庫のALC外壁と折板屋根をまとめて行う場合の流れは工場・倉庫の外壁塗装・屋根塗装で説明しています。

ALC目地のシーリング:材料・2面接着・打ち替えの考え方

ALC外壁の防水は、塗膜とシーリングの2層で成り立ちます。ALC協会「ALCパネルの仕上げおよび防水」では、目地シーリングについて次のように整理されています。

  • 材料:50%引張応力が0.3N/mm²以下の低モジュラス型を使う。ポリウレタン系(PU-1・PU-2)は「適する」、変成シリコーン系(MS-1・MS-2)は表面塗装との相性を事前確認、アクリル系(AC-1)は事前検討が必要で、耐久性区分7020の製品は住宅瑕疵担保責任保険の加入条件(区分8020以上)を満たさない
  • 目地の動き:ロッキング構法・横壁アンカー構法の目地は動くため、ポリウレタン系や変成シリコーン系が望ましい
  • 接着面:目地底にボンドブレーカーやバックアップ材を入れて2面接着とする。3面接着は目地の伸縮やずれが生じにくい場合に限る
  • プライマー:充填前に、シーリング材メーカー指定のプライマーを被着体に合わせて塗る
  • 打継ぎ:異種シーリング材の打継ぎは望ましくない。やむを得ない場合は打継ぎ可否の目安表を確認し、必要に応じてシーリング材メーカーに問い合わせる

「打ち替え」と「増し打ち」のどちらにするかは、既存シーリングの接着状態と、増し打ちしても必要な厚みが確保できるかで決めます。ALC目地は深さがあるため、既存シーリングの状態と増し打ちで必要な厚みが取れるかを部位ごとに現地で確認し、打ち替えか増し打ちかを判断します。サッシ廻りのように撤去でサッシや防水紙を傷めるおそれがある部位は増し打ちを選ぶことがあります。当社は現地調査で目地の幅・深さ・既存材の硬さを確認し、部位ごとに打ち替えか増し打ちかを見積書に分けて書きます。

打ち替え・増し打ちの工程と一般的な費用の考え方は八王子のシーリング工事(コーキング)にまとめています。

ALC造の建物の屋上防水:露出防水が原則、勾配は躯体でとる

ALC造の建物の改修で、既存の防水の種類別の工法の選び方・目地の打ち替えと増し打ちの使い分け・費用の決まり方は「ALC建物の屋上防水と外壁改修|目地・継ぎ目・納まりと費用の決まり方」にまとめています。ここでは材料としてのALCに関わる原則だけを記します。ALC協会の資料では、ALC屋根パネルの防水について次の考え方が示されています。

  • 防水はメンブレン防水(露出防水が原則)または葺屋根工法とする
  • 水勾配は構造躯体でとり、目安は1/50。モルタルの塗厚で勾配をつけることは避ける
  • パネルの裏面が密閉される場合は、葺屋根工法か脱気装置付きのメンブレン防水を採用する
  • パラペットでは防水層を外壁ALCまで巻き込み、笠木はALC専用の金属製笠木を使う。現場塗りのモルタル笠木は避ける
  • 雪下ろしを行う建物ではメンブレン防水を避ける

出典:ALC協会「ALCパネルの仕上げおよび防水」第9版。当社が押えコンクリートなど湿気が残る下地の屋上改修で通気緩衝工法のウレタン塗膜防水を提案することが多いのは、下地の湿気を脱気筒から逃がせるためで、上の「脱気装置付きのメンブレン防水」と同じ考え方です。既存防水層の種類(シート・アスファルト・ウレタン)と下地の含水状態で工法が変わるため、現地調査で水分計と目視の両方で確認します。

前述の収益ビル(S造・ALC外壁)でも、外壁塗装と同じ足場で屋上防水を行いました。既存の屋上は押えコンクリート(シンダーコンクリート)仕上げで、伸縮目地(エラスタイト)の劣化と表面の傷みが進んでいたため、下地に水分が残っている可能性を考えて通気緩衝工法を選んでいます。工程は、伸縮目地の撤去、カチオン樹脂による下地処理、プライマー、通気緩衝シート、脱気筒の設置、ウレタン2層、トップコートの順です。

八王子市内の収益ビル(S造・ALC外壁)の屋上防水の施工前|押えコンクリートと伸縮目地の劣化
Before:同ビルの屋上(施工前)。押えコンクリート仕上げの表面の傷みと伸縮目地の劣化が進んでいました
八王子市内の収益ビル(S造・ALC外壁)の屋上ウレタン塗膜防水(通気緩衝工法)の完成
After:同ビルの屋上(施工後)。通気緩衝工法のウレタン塗膜防水をトップコートで仕上げた状態。全工程は末尾の施工事例で写真つきに解説しています

ALCの屋根パネルに直接防水する建物でも、下地の湿気を逃がす考え方は同じです。工法は既存防水層と下地の状態で変わるため、現地調査の結果をもとにご提案します。

八王子のALC造の建物で点検する外壁の目地・サッシ廻り・塗膜・笠木と屋上防水の位置を示した図解
図解:ALC造の建物の点検箇所。外壁の4か所と屋上防水を同じ足場・同じ工事で更新すると合理的です

工場・倉庫の陸屋根・折板屋根の防水は八王子の工場・倉庫の防水工事にまとめています。

ALC外壁のメンテナンス周期と当社の保証・点検

ALC本体は適切に保護されていれば長く使える材料ですが、「何年ごとに塗り替えるか」は塗料のグレードと環境で変わります。前述の約20年・約30年という目安は、住宅用のヘーベルパワーボードに純正塗料を規定どおり施工した場合の値で、ビル・工場の厚形パネルにそのまま当てはまるものではありません。塗り替えに使う一般的な塗料については、塗料メーカーが公表している期待耐用年数を見積書に書き、当社の保証とは分けてご説明します。

部位見る時期の目安当社の保証・点検
外壁の塗膜チョーキングや色あせが出たら診断。塗料メーカーの期待耐用年数を参考にする塗膜は最長10年の自社保証(塗料のグレードで年数が変わる)
目地シーリング痩せ・ひび割れの段階で打ち替えを計画。塗装と同じ足場で行うのが合理的保証対象外。施工後の定期点検で状態を確認
屋上・屋根の防水膨れ・水たまり・ドレン廻りの汚れを確認平場10年・立上り5年の自社保証
定期点検—工事後1年・3年・5年・10年に点検

保証の範囲と免責の詳細は巧正の工事保証とアフター点検をご覧ください。ALC外壁では、塗装の保証があってもシーリングの切れから水が入れば塗膜の膨れとして現れるため、当社は塗装とシーリングを同じ工事でまとめて更新することをおすすめしています。

ALC外壁の見分け方:目地の間隔と建物の構造で見当をつける

ご自身の建物がALCかどうかは、設計図書(仕上表・矩計図)に「ALC」「ALCパネル t=100」などと書かれていれば確実です。図面が手元にない場合は、次の点で見当をつけられます。

  • 目地の間隔:ALCパネルは幅300〜600mmなので、縦張りなら60cm以下の一定間隔で縦目地が規則的に並びます。横張りなら横目地が同じ間隔で並びます
  • 建物の構造:ALC協会の資料で例示されているとおり、高さ31m以下のビル、倉庫・工場に多く、八王子・多摩では鉄骨造の事務所ビルや賃貸マンションでもよく見かけます
  • 手触りと断面:塗膜の下に細かい気泡の表情があり、配管の貫通部や欠けた部分の断面が白っぽく軽石のように見えます
  • サイディングとの違い:窯業系サイディングは板が薄く目地も浅いのに対し、ALCは厚形で75mm以上の厚みがあり、目地が深いのが特徴です

目視だけでは判断が難しいこともあります。当社の無料建物診断では、外壁材の種類の特定と、目地・塗膜・開口部・笠木の状態を写真つきで報告しています。

ALC外壁の塗り替えを依頼する前に確認しておきたいこと

ALC外壁の見積を比べるときは、金額の前に次の項目が書かれているかを見ると、工事の中身を比較しやすくなります。

  1. シーリングの扱い:打ち替えか増し打ちか、部位(パネル目地・サッシ廻り・貫通部)ごとの数量(m)と材料名
  2. 下地調整の内容:シーラー・下地調整塗材の種類と、ひび割れ・欠けの補修方法
  3. 塗料の名称と塗布量・回数:下塗り・中塗り・上塗りそれぞれの材料名
  4. 開口部・笠木・パラペットの処理:塗装範囲に含まれるか、別途か
  5. 屋上・屋根の防水:同時に行う場合の工法と、既存防水層の処理(かぶせ・撤去)
  6. 保証と点検:部位ごとの年数と免責、点検の時期

当社は工程別の内訳を明記した見積書をお出しし、元請けとして調査から施工管理・保証まで一貫して対応します。見積書の読み方と、事業用建物の修繕費用の考え方は、末尾の関連記事にまとめています。

よくあるご質問

Q1. ALCの読み方と正式名称は何ですか

A. 「エーエルシー」と読みます。正式名称はAutoclaved Lightweight aerated Concrete(オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート)で、JIS A 5416で規定されたパネル製品です。図面では「ALC」「ALCパネル」「軽量気泡コンクリート板」と書かれます。

Q2. ALCとコンクリートの違いは何ですか

A. どちらもセメント系の材料ですが、ALCは内部に無数の気泡を持つ多孔質の工場製品で、密度は絶乾で500kg/m³前後(メーカー公表値)です。普通コンクリートより軽く断熱性が高い一方、吸水性があるため塗装で保護する前提の材料です。また、ALCは外壁・床・屋根などの「部材」であり、建物を支える構造体ではありません。

Q3. 「ALC造」とはどんな建物ですか

A. 建築基準法上の構造種別ではなく、多くの場合は鉄骨造(S造)の躯体にALCパネルを外壁として取り付けた建物を指す言い方です。不動産の資料で「S造・ALC」「鉄骨ALC造」と書かれているものがこれにあたります。修繕では、鉄骨造として鉄部の防錆と、ALC外壁として塗膜・シーリングの両方を計画します。

Q4. ALC外壁は塗装しなくても大丈夫ですか

A. ALC協会の資料では「吸水性があるため仕上げの塗装が必要」とされています。塗膜とシーリングが働いているあいだはALC本体が守られているので、劣化サインが出た段階で計画的に更新するのが、建物を長く使うための順当な方法です。急ぐ必要があるかどうかは現地調査で状態を見てからご説明します。

Q5. ALC外壁の塗り替えは何年ごとですか

A. 使う塗料と環境で変わります。住宅用の薄形ALC「ヘーベルパワーボード」の純正塗料では、耐候性20年・30年のものが約20年・約30年を目安としています(本州の気象条件が前提)。ビル・工場の厚形パネルの塗り替えに使う一般的な塗料は、塗料メーカーが公表する期待耐用年数を参考にし、チョーキングやシーリングの痩せが出たら診断を受けるのが現実的です。当社の塗膜保証は最長10年です。

Q6. 古いALCにアスベストは含まれていますか

A. ALC協会は「1963年の販売開始以来、ALCパネルは一貫して有害物質ゼロ。アスベストはもちろんトルエン、キシレンなどの揮発性有機化合物(VOC)とは無縁」と説明しています(出典:ALC協会「ALCパネル?」)。ただし外壁には下地調整材や旧塗膜、目地材など他の建材も使われているため、個別の建物については国土交通省・経済産業省の「石綿(アスベスト)含有建材データベース」で製品名・製造時期から確認します。

また、2022年4月1日以降に着手する請負代金100万円以上(税込)の改修工事では、石綿の有無の事前調査と結果の報告が大気汚染防止法で義務づけられています(出典:環境省報道発表)。塗装やシーリング工事でもこの対象になり得るため、当社は見積の段階で確認します。

Q7. ALC外壁にタイルや石を張ることはできますか

A. ALC協会の資料では、石張りは重量が大きいため適用外、モルタル塗りはひび割れで防水性が劣るため適用外とされています。タイル張りは日本建築仕上学会の指針に従えば可能とされています。既存のALC外壁の改修では、重い仕上げに変えるより、塗装とシーリングで防水性を回復する方法が一般的です。

Q8. 工場や倉庫のALC外壁は操業中でも塗装できますか

A. 多くの場合可能です。搬入動線や荷受けの時間帯、臭気が気になる工程の順番を事前に打ち合わせ、面ごとに工程を分けて進めます。進め方の詳細は末尾の関連記事「稼働中の工場・店舗で外壁修繕する方法」にまとめています。

まとめ:ALCは「塗膜とシーリングで守る」外壁材

  • ALCはオートクレーブ養生した軽量気泡コンクリートのパネルで、JIS A 5416で規定された工業製品。軽く、燃えにくく、熱と音を伝えにくい
  • 吸水性があるため、ALC協会の資料でも「仕上げの塗装が必要」と明記されている。塗膜・目地シーリング・サッシ廻り・笠木・屋上防水の状態が建物の耐久性を左右する
  • 塗装は洗浄・シーリング打ち替え・下塗り・中塗り・上塗りの順。ALCでは透湿性のある塗料と、低モジュラスのシーリング材・2面接着が基本
  • 屋上がALCの建物は露出のメンブレン防水が原則で、裏面が密閉される場合は脱気装置付きの工法を選ぶ
  • 見積は、シーリング・下地調整・塗料・開口部・防水・保証が部位ごとに書かれているかで比べる

うちの外壁はALC? 目地と外壁の写真で見立てます

建物の所在地・階数・構造(わかる範囲で)、外壁の全体写真と、目地・サッシ廻り・笠木の気になる箇所の写真をお送りください。ALCかどうかの見当と、塗装・シーリング・屋上防水のどこから手をつけるとよさそうかを担当者からご連絡します。現地調査と見積は無料で、契約の義務はありません。

● LINEで写真を送る:巧正の公式LINE

● フォームで依頼する:30秒のかんたん見積もり依頼(写真はこちらからのご連絡後にお送りください)

● お電話:042-508-3134(9:00〜18:00/日曜定休)
巧正株式会社/東京都知事許可(般-7)第161006号/〒192-0045 東京都八王子市大和田町6-19-8 ウィングマンション205号

出典・参考資料

執筆・監修:巧正株式会社 施工管理部(外壁診断士・2級建築施工管理技士補(仕上げ)在籍)|創業2014年・累計1,000件超の施工実績。本記事のALCの定義・寸法・性能・仕上げの考え方はALC協会および旭化成建材の公開資料にもとづき、2026年10月11日に内容を確認しています。物性値は製品により異なり、規格・資料は改定されることがあります。個別の建物の仕様や補修方法は、設計図書とメーカー資料をもとに現地でご確認ください。

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ALCとは

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