マンション・ビルの修繕周期 早見表|工事項目別の目安と点検時期
「うちの建物は、何を、何年ごとに直せばいいのか」。マンション・アパート・ビルの外装と設備について、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインに示されている修繕周期の参考値を、工事項目ごとに1枚の早見表にまとめました。周期は固定の年数ではなく、劣化の状態で前後します。この早見表は「点検を入れる時期」と「足場を組む工事をまとめる単位」を決めるための地図として使ってください。
修繕周期 早見表|図解1枚で見る工事項目別の目安
横軸が築年数、帯が各工事項目の「修繕を検討する時期の幅」です。帯の色と文字で、足場を組む必要がある工事(足場要)と、足場なしでもできる工事(足場不要)を分けています。帯が重なる時期に足場を組む工事をまとめると、仮設費の二重負担を避けられます。

外装の工事項目別 修繕周期の目安(表)
足場を組んで行う外装の工事を中心に、周期の目安、先に傷みやすい部位、足場の要否を並べました。周期の数値は、国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」(令和6年6月改定)の様式第3-2号「推定修繕工事項目、修繕周期等の設定内容」に参考値として示されているものです。ガイドライン自身が「参考」と明記しているとおり、実際の時期は建物ごとの劣化診断で決めます。
| 工事項目 | 周期の目安(参考値) | 先に傷みやすい部位・サイン | 足場 |
|---|---|---|---|
| 屋上防水(補修・修繕) | 12〜15年 撤去・新設 24〜30年 | 立上り・ドレンまわり・伸縮目地。膨れ、ひび、水たまり | 不要(屋上で完結) |
| 庇・笠木・パラペット天端の防水 | 12〜15年 | 天端のひび、笠木の継ぎ目 | 要 |
| バルコニー・開放廊下・階段の床防水 | 12〜15年 | 排水口まわり、端部の立上り。トップコートの摩耗 | 工事範囲による |
| 外壁塗装(塗り替え) | 12〜15年 既存塗膜を除去して塗装 24〜30年 | 日射を受ける面。チョーキング、色あせ、ひび | 要 |
| 躯体コンクリートの補修 | 12〜15年 | ひび割れ、欠損、爆裂(鉄筋の錆による欠け) | 要 |
| 外壁タイルの補修 | 12〜15年 | 浮き、剥落、目地のひび。打診で数量が決まる | 要(打診はロープアクセスでも可) |
| シーリングの打ち替え | 12〜15年 | サッシまわり、外壁目地。硬化、ひび、剥離 | 要 |
| 鉄部塗装(手すり・鉄骨階段・扉・架台など) | 5〜7年 | 錆、塗膜の浮き。雨掛かりの部位から先に傷む | 部位による |
| 屋外鉄骨階段 | 補修 12〜15年/取り替え 34〜38年 | 踏面の防水、ササラ桁の錆 | 部位による |
| 建具(玄関扉・サッシ・面格子) | 点検・調整 12〜15年/取り替え 34〜38年 | 戸車、丁番、パッキン | 不要 |
周期が同じでも、劣化の進み方は面によって違います。日射を受ける面は早く、日陰の面は遅い。屋上や笠木の天端は、紫外線と雨水を直接受ける部位です。表の「先に傷みやすい部位」は、点検で最初に見る場所として使ってください。
設備の修繕周期(参考)
同じガイドラインの様式に載る設備の周期も、参考として載せます。設備の工事は当社の施工範囲ではありませんが、外装工事と時期が重なると資金計画に影響するため、早見表には入れておく必要があります。
| 設備 | 周期の目安(参考値) |
|---|---|
| 給水管・排水管 | 更生 19〜23年/取り替え 30〜40年 |
| 給水ポンプ・排水ポンプ | 補修 5〜8年/取り替え 14〜18年 |
| 空調・換気設備 | 取り替え 13〜17年 |
| インターホン設備 | 取り替え 15〜20年 |
| 自動火災報知設備 | 取り替え 18〜22年 |
| エレベーター | 補修 12〜15年/取り替え 26〜30年 |
| 機械式駐車場 | 補修 5年/取り替え 18〜22年 |
設備の周期は、お持ちの長期修繕計画書の「修繕周期」の列で確認してください。
「12年」は点検を入れる目安、実施は12〜15年の幅で判断する
大規模修繕は「約12年周期」と言われます。国土交通省は令和3年9月のガイドライン改定で、修繕周期を「工事事例等を踏まえて一定の幅のある修繕周期に変更」し、あわせて長期修繕計画の期間を「2回の大規模修繕工事を含む30年以上」としました。表の「12〜15年」はこの幅です。
幅で考えると、判断は2段階になります。
- 幅の手前(築12年前後、前回工事から12年前後)に近づいたら、現地調査を入れる
- 調査の結果で「今回やる」「次回に回す」「調査だけ続ける」を分ける
周期は工事の予約日ではなく、点検を入れる合図と考えてください。大規模修繕そのものの費用相場・流れ・業者の選び方は八王子市の大規模修繕のページにまとめています。

前倒し・後ろ倒しを決める劣化サイン
周期の幅の中で時期を決めるのは劣化サインです。次のサインが出ていれば、周期の手前でも工事を検討します。逆に、サインが出ていなければ、周期を過ぎていても点検を続けながら時期を延ばす判断ができます。
- 外壁塗装:手で触ると白い粉がつくチョーキング、色あせ、ひび割れ、塗膜の膨れ・剥がれ
- シーリング:表面の硬化、ひび、外壁との境目の剥離、サッシまわりの隙間
- 屋上防水:防水層の膨れ、ひび、立上りの剥がれ、水たまりが乾かない、ドレンまわりの草
- 鉄部:錆の点、塗膜の浮き、手すりのぐらつき
- タイル:浮きの音(打診)、目地のひび、剥落の跡


屋上防水の劣化サインは屋上防水の劣化サイン7つと改修方式の選び方で写真つきで説明しています。外壁の劣化サインは関連ページの外壁塗装のページをご覧ください。
足場を組む工事はまとめる|周期をそろえる考え方
早見表で「足場:要」の工事は、周期がほぼ同じ12〜15年です。これらは足場を組んだときにまとめて行うのが基本です。当社が八王子市内で元請けとして施工した収益ビルの改修では、足場が工事費の約19%を占めました。別々の年に足場を組むと、この費用を二重に払うことになります。
- 足場を組んだ年にまとめる工事:外壁塗装、シーリング、タイル補修、躯体コンクリート補修、笠木・庇の防水、高所の鉄部塗装
- 足場と切り離して時期を決められる工事:屋上防水、バルコニー・廊下の床防水(範囲による)、低所の鉄部塗装、建具の調整
- 周期が短く、中間の年に単独で行う工事:鉄部塗装(5〜7年。雨掛かりの部位を優先)、屋上防水のトップコート塗り替え(5〜10年ごと・当社の目安)

工事範囲を絞る考え方と足場の構成比の内訳は中規模修繕とは|工事範囲を絞る判断で説明しています。足場を組まずに高所を調査・補修する方法は、関連ページのロープアクセス打診調査をご覧ください。
保証と定期点検で周期を管理する
周期の管理で実務的に効くのは、工事の保証年数と定期点検です。当社の工事保証は、屋上防水が平場10年・立上り5年(仕様により10年)、外壁塗膜が最長10年です。保証の切れる時期は、次の周期(12〜15年)の手前にあたります。引き渡し後は1年・3年・5年・10年を目安に定期点検を無料で行い、結果を写真付きでご報告して、次の修繕時期の判断材料にします。
| 引き渡し後 | 確認箇所の例 | 周期との関係 |
|---|---|---|
| 1年 | 屋上の排水口・立上り/外壁の塗膜・シーリング | 初期の不具合の有無を確認 |
| 3年 | 同上+鉄部の錆・付帯部 | 鉄部塗装(5〜7年)の前倒し判断 |
| 5年 | 同上+防水トップコートの劣化 | トップコート塗り替えの要否を判断 |
| 10年 | 建物全体 | 次の大規模修繕(12〜15年)の計画の起点にする |
保証の範囲と点検の内容は巧正の工事保証とアフター点検のページにまとめています。
法定点検との関係
修繕周期とは別に、建築基準法にもとづく定期報告の対象になる建物では、外壁のタイル等について「おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等」を行うことが定められています。この全面打診の時期は、外壁タイル補修の周期(12〜15年)の少し手前にあたり、打診で浮きの数量が分かるため、次の大規模修繕の見積の精度が上がります。
対象となる建物の条件、打診の方法、費用の考え方はビル外壁の打診調査は義務?12条点検と費用で説明しています。ご自分の建物が対象かどうかは、管理会社または八王子市の建築指導課にご確認ください。

長期修繕計画との関係
早見表の周期は、長期修繕計画書の「修繕周期」の列と同じものです。ガイドラインは、計画期間を「2回の大規模修繕工事を含む30年以上」とし、5年程度ごとに調査・診断を行って見直すこととしています。見直しのときに、早見表の周期と実際の劣化診断の結果を突き合わせると、次の工事時期と修繕積立金の過不足が見えてきます。計画書の見方と見直しの手順は長期修繕計画書の見方・作り方で説明しています。
よくあるご質問
築12年を過ぎましたが、まだ工事は必要ないように見えます。どうすればいいですか?
周期は点検を入れる合図です。劣化サインが出ていなければ、点検を続けながら時期を延ばす判断ができます。ただし、屋上とシーリングは外から見えにくい部位なので、現地で状態を確認してから決めることをおすすめします。現地調査は無料です。
周期の目安より早く劣化しているのはなぜですか?
日射の向き、前回工事の材料と施工の質、建物の形状(ひさしの有無など)で劣化の速さは変わります。早い面に合わせて全体を工事するか、面ごとに時期を分けるかは、足場の要否で決めます。現地調査で面ごとの状態を写真でお見せします。
鉄部塗装だけを先にやるべきですか?
鉄部塗装の周期は5〜7年で、大規模修繕(12〜15年)より短いです。錆が出ているなら、大規模修繕を待たずに単独で塗り替えたほうが、下地の傷みを止められます。足場が要らない部位(鉄骨階段・手すり・扉)は単独で施工できます。
アパートやビルにも同じ周期が当てはまりますか?
ガイドラインは分譲マンション向けに作られたものですが、周期の根拠は部材や工事の仕様なので、賃貸アパートやビルでも目安として使えます。ただし建物ごとの差が大きいため、実際の時期は現地調査で判断します。
周期を延ばす方法はありますか?
あります。屋上防水は、トップコートを5〜10年ごと(当社の目安)に塗り替えると防水層の寿命を延ばす効果が期待できます。外壁は耐候性の高い塗料を選ぶと、次の塗り替えまでの期間を延ばしやすくなります。ドレンの清掃と、錆が出た鉄部の早めの塗り替えも、大規模修繕の間隔を保つのに効きます。
周期の確認・現地調査のご依頼
「うちの建物はどの時期にあたるのか」「長期修繕計画の周期と実際の劣化が合っているか見てほしい」というご相談を承ります。現地調査と診断は無料で、劣化の状態を写真と図でご報告し、今回やる工事と次回に回せる工事を分けてご提案します。
お電話:042-508-3134(9:00〜18:00/日曜定休)
フォーム:お問い合わせ・無料診断のお申し込み(24時間受付)
所在地:〒192-0045 東京都八王子市大和田町6-19-8(東京都知事許可(般-7)第161006号)
執筆・監修:巧正株式会社(外壁診断士/2級建築施工管理技士補(仕上げ))|八王子市内 累計1,000件超の施工実績
関連ページ:八王子市の大規模修繕/外壁塗装/ロープアクセス打診調査/管理組合向け大規模修繕の進め方/管理組合様へ/賃貸オーナー様へ/防水工事/シーリング工事/工事保証とアフター点検/用語集
出典:国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」(令和6年6月改定)様式第3-2号 推定修繕工事項目、修繕周期等の設定内容(参考)/国土交通省 報道発表(令和3年9月28日)「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の見直しについて/国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」
