マンション・アパート・ビルの修繕は、無料の建物診断から無料診断のお申込み →

12条点検の外壁打診調査は義務?対象マンション・10年全面打診・費用

タイル貼り・モルタル仕上げのマンションやビルでは、「外壁の全面打診調査が必要」「12条点検の時期です」と管理会社や調査会社から言われることがあります。これは建築基準法第12条の定期報告制度にもとづく調査で、報告の対象になる建物では、所有者・管理者が資格者に調査させて特定行政庁へ報告する義務があります。

ただし「どの建物が対象か」は特定行政庁(都道府県・市区)ごとに違い、「いつ全面打診が必要か」は国土交通省の告示で決まっています。本記事では、八王子を拠点にマンション・ビルの外壁調査と修繕を元請けとして手がける巧正株式会社が、国土交通省・東京都・八王子市・横浜市の公表資料と建築基準法にもとづいて、義務の根拠、10年ルール、対象建物の調べ方、罰則、調査方法、公開されている費用の例と決まり方、浮きが見つかった後の進め方まで整理します。

結論:定期報告の対象建物なら義務。全面打診は「竣工・外壁改修・前回全面打診から10年を超えた最初の調査」で必要

外壁打診調査そのものに単独の義務があるのではなく、定期報告(12条点検)の対象建物で、調査方法を定めた告示(平成20年国土交通省告示第282号)により全面打診等が求められます。対象かどうかは特定行政庁ごとの一覧で決まり、東京都・八王子市では、5階以上の階に共同住宅部分があり(その階の共同住宅部分が100㎡超)、共同住宅部分の床面積の合計が1,000㎡超のものが対象です。横浜市では、表に掲げる用途(店舗・ホテル等)を含まない共同住宅・事務所は報告対象になりません。対象外でも、外壁の落下で第三者に被害が出た場合の責任(民法717条)は報告の有無と関係なく生じます。

目次

外壁打診調査が「義務」になる根拠:建築基準法12条の定期報告

建築基準法第12条第1項は、政令で定める建築物と、特定行政庁が指定する建築物の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)に対し、一級建築士・二級建築士または建築物調査員資格者証を持つ者に敷地・構造・建築設備の状況を定期的に調査させ、その結果を特定行政庁に報告することを求めています。これが「12条点検」「定期報告」と呼ばれる制度です。

報告の時期は、建築基準法施行規則第5条で「建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね六月から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期」とされ、調査の項目・方法・判定基準は国土交通大臣が定めます(同条第2項)。外壁についてこの「方法」を定めているのが、次の章で説明する平成20年国土交通省告示第282号です。

  • 誰が:対象建物の所有者(管理者がいる場合は管理者)。分譲マンションでは管理組合が窓口になるのが一般的
  • 誰に調査させるか:一級・二級建築士、または特定建築物調査員(建築物調査員資格者証の交付を受けた者)
  • どこへ報告するか:建物の所在地を所管する特定行政庁(八王子市内の建物は八王子市)
八王子の建物 外壁タイルの打診調査(巧正の施工現場)
テストハンマーによる外壁タイルの打診調査(当社の施工現場)。定期報告では「手の届く範囲の打診」と「全面打診等」の2段階があります

全面打診が必要になる条件:告示282号の「10年ルール」

国土交通省は、タイル・石貼り(乾式工法を除く)・モルタル等の外装仕上げ材について、定期調査の方法を告示で定めています。国土交通省のページでは「おおむね6ヶ月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診等」に加え、「おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行う」と説明されています(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁タイル等の調査について」)。

告示の定めを実務の判断に直すと、次のようになります。

  1. 通常の定期調査:手の届く範囲をテストハンマーで打診し、その他の部分は目視で確認。異常があれば、歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面打診等で確認
  2. 10年を超えた最初の調査:竣工後・外壁改修後・前回の全面打診等の後、10年を超えて最初の定期報告で、歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面的に打診等で確認
  3. 省略できる場合:3年以内に外壁改修等が行われることが確実な場合、または別途歩行者等の安全を確保する対策(落下物防護ネット・立入防止など)を講じている場合

「10年」の起点は竣工・外壁改修・前回の全面打診のいずれか直近の年です。たとえば竣工から12年目に全面打診を行えば、そこから再び10年のカウントが始まります。「3年以内の改修が確実」とは、維持保全計画などで外壁改修や全面打診の時期が明確にされており、これまでも計画どおりに実施されている場合を指すと、札幌市の解説資料では示されています(出典:札幌市「定期報告における外装仕上げ材(タイル等)の調査について」)。

八王子の建物の外壁全面打診が必要になるかを示す判断フローの図解
図解:全面打診等が必要になるかの判断の流れ(告示282号・国土交通省の説明にもとづく当社の整理)

「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」とは

全面打診の対象は外壁のすべてではなく、国土交通省の技術的助言(平成20年国住指第2号)で範囲が示されています。壁面の前面で、壁面高さのおおむね2分の1の水平面内に、公道・不特定または多数の人が通行する私道・構内通路・広場があるものが対象です。壁面の直下に鉄筋コンクリート造や鉄骨造の強固な庇・屋根がある部分や、植込み等で影響角(縦2:横1の勾配)が完全に遮られる部分は除かれます。

つまり、高さ30mの建物なら壁面から15m以内に道路や通路がある面が対象になり、隣地側で人が立ち入らない面は対象外になることがあります。どの面が対象かで調査面積が変わり、費用も変わるため、見積の前に建物の配置図で対象面を整理しておくと話が早くなります。

八王子の外壁タイルの打診による判別を示した図解
図解:健全な部分と浮いている部分の打診音の違い。全面打診はこの判別を対象面の全体で行います

対象になる建物は特定行政庁ごとに違う:東京都・八王子市・横浜市の例

「12条点検 外壁 マンション 対象」で調べると答えが食い違うのは、共同住宅や事務所は特定行政庁の指定で対象になるかどうかが決まるからです。国が政令で全国一律に対象としている用途(劇場・病院・ホテル・物販店舗など)に加え、各特定行政庁が地域の実情に応じて対象を指定しています。そのため、同じ規模のマンションでも、東京都内では対象、横浜市では対象外ということが起こります。

特定行政庁共同住宅の扱い事務所の扱い報告時期(共同住宅)
東京都(都所管の区域)F≧5階 かつ A>1,000㎡ が対象5階建て以上で延べ2,000㎡超の建築物のうち F≧3階 かつ A>1,000㎡5月1日〜10月31日、3年ごと(令和3年、6年…)
八王子市(特定行政庁)F≧5階 かつ A>1,000㎡ が対象(東京都と同じ一覧)東京都と同じ条件5月1日〜10月31日、3年ごと(令和3年、6年…)
横浜市対象外(表に掲げる用途を含まない共同住宅は報告対象にならない)対象外(同上)―
図表:特定行政庁による共同住宅・事務所の扱いの違い(F≧5階=5階以上の階でその用途に供する部分の床面積の合計が100㎡を超えるもの、A=その用途に供する部分の床面積の合計。横浜市でも建物内の昇降機等は別途報告対象になることがあります。出典:東京都都市整備局・八王子市「定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」、横浜市「報告対象建築物・昇降機等」)

東京都の一覧では、共同住宅の住戸内は対象から除かれ、高齢者・障害者等が就寝する共同住宅・寄宿舎は別の条件(地階・3階以上・2階部分300㎡以上など)で対象になります。店舗や事務所が入る複合用途の建物は、用途ごとの条件で判断します。特別区(23区)は原則として各区役所(敷地内に延べ面積1万㎡超の建築物がある場合は都の建築企画課)、多摩地域では八王子市・町田市・立川市など11市は各市役所、それ以外の多摩の市は東京都多摩建築指導事務所が窓口です(出典:東京都都市整備局「定期調査・検査報告制度」)。

自分の建物が対象か調べる3ステップ

  1. 建物の所在地から特定行政庁を確認する:東京都内なら、東京都都市整備局の「所管特定行政庁連絡先一覧」で区・市・都のどこが窓口かを確認
  2. その特定行政庁の一覧で用途・規模を照らす:全体の階数と延べ面積、各用途の床面積、各階の用途を整理し、「定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」と照合
  3. 判断がつかなければ窓口に問い合わせる:複合用途や増築歴がある建物は、整理した数字を持って特定行政庁に確認。八王子市内は建築指導課(042-620-7310)

なお、新築の特定建築物には「初回免除」があり、東京都では検査済証の交付を受けた日の属する年度の翌年度以降、2回目の報告時期から報告が必要になります(例:令和5年度に検査済証が交付された共同住宅は令和9年度から)。

うちの建物は全面打診が必要? 竣工年と外壁の写真で見立てます

建物の所在地・階数・延べ面積、竣工年と外壁改修の時期、外壁の写真(道路に面した面の全体と、タイルや目地の気になる箇所)をお送りください。定期報告の対象になりそうか、全面打診の年にあたるか、どの調査方法が合いそうかを担当者からご連絡します。最終的な対象の判断は所管の特定行政庁の確認が必要です。現地調査は無料で、契約の義務はありません。

● LINEで写真を送る:巧正の公式LINE

● フォームで依頼する:30秒のかんたん見積もり依頼(写真はこちらからのご連絡後にお送りください)

● お電話:042-508-3134(9:00〜18:00/日曜定休)
巧正株式会社/東京都知事許可(般-7)第161006号/〒192-0045 東京都八王子市大和田町6-19-8 ウィングマンション205号

八王子市の定期報告:共同住宅の規模・時期・提出先

八王子市は特定行政庁として独自に一覧を公表しており、共同住宅の条件は東京都と同じです。八王子市内のマンション・ビルは次の内容で確認してください。

項目八王子市の取り扱い
共同住宅(下宿・寄宿舎を含む)の対象規模F≧5階 かつ A>1,000㎡(5階以上の階に共同住宅部分が100㎡超あり、共同住宅部分の床面積の合計が1,000㎡超)
報告の時期5月1日〜10月31日(3年ごと。令和3年、令和6年…)。周期どおりなら次回は令和9年(2027年)の見込みですが、実際の報告時期は市からの案内・一覧でご確認ください
調査から報告までの期限調査日から3か月以内に報告(八王子市Q&A)
市からの案内が届かない場合案内の有無にかかわらず、対象建物の所有者・管理者に報告義務がある(八王子市Q&A)
特定建築物の提出先公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター(03-5989-1929)
問い合わせ先八王子市 まちなみ整備部 建築指導課 042-620-7310
図表:八王子市の定期報告(特定建築物・共同住宅)の要点(出典:八王子市「建築基準法に基づく定期報告制度」「よくあるご質問(定期報告制度Q&A)」、2026年10月確認)

報告期間が5月〜10月で、調査の有効期間が3か月のため、全面打診を伴う年は春までに調査方法と業者を決めておくのが現実的です。八王子市のQ&Aでは市は調査者の紹介をしておらず、管理会社、設計・施工を行った建設会社、東京都防災・建築まちづくりセンターの講習会修了登録者名簿から探す方法が案内されています。

報告の対象でなくても、外壁タイルやモルタルの状態を把握しておくことは修繕時期を決める材料になります。改修の周期の目安は「マンション・ビルの修繕周期 早見表」で整理しています。

八王子の外壁診断士による建物の現地診断
外壁診断士による現地診断(八王子市)。竣工年・外壁改修歴・前回の全面打診の有無を先に整理すると、10年ルールの判断が早くなります

報告しないとどうなるか:罰則と、外壁が落ちたときの責任

定期報告をしない、または虚偽の報告をした場合は、100万円以下の罰金が定められています(建築基準法第101条第1項第2号)。報告の対象かどうか、報告の時期がいつかは、所管の特定行政庁で確認できます。

罰則とは別に、外壁の落下で第三者に被害が出た場合は、民法第717条の工作物責任が問われることがあります。条文では、まず建物の占有者が責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは所有者が責任を負うとされています。これは定期報告の対象かどうかにかかわらず生じるもので、分譲マンションでの扱いなど個別の事情は弁護士などの専門家にご確認ください。

定期報告の対象外の中小規模のビルや4階建て以下のマンションでも、タイル面の状態を把握しておく意味はここにあります。義務の有無とは別に、外壁改修の計画に合わせて打診を入れるのが、無駄のない進め方です。

調査方法の比較:足場・ロープアクセス・赤外線(令和4年改正の位置づけ)

全面打診等は「足場を組んで全面をハンマーで叩く」だけが方法ではありません。令和4年(2022年)1月の告示改正で、無人航空機(ドローン)による赤外線調査のうち、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものが打診以外の方法として明確化されました。同等以上かどうかの判定は、日本建築防災協会の委員会がまとめた「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」(令和4年3月)を参照します(出典:国土交通省)。

方法特徴向いている場面
足場+全面打診対象面を直接打診でき、補修と同時に進められる。足場の費用が大きい外壁改修と同時に行うとき
ゴンドラ・高所作業車足場を組まずに済むため仮設費を抑えやすいが、屋上の設置条件や道路使用の制約がある立地と屋上の条件が合う中層ビル
ロープアクセス打診足場を架けずに打診で直接確認できる。下がるのは足場に関わる費用の分中高層ビル、足場が組みにくい立地、調査のみの依頼
赤外線(地上・ドローン)非接触で広い面を効率よく調査。天候・気温・風速などの気象条件、タイルの種類、周辺の建物からの放射熱に条件があり、軒裏・出隅・入隅などは困難。事前に同一部位で打診と比較して精度を確認する大面積で条件の合う壁面
図表:外壁の全面打診等に使われる調査方法の比較(当社の整理)

赤外線調査のガイドラインでは、事前調査で日射の状況・調査可能な時間帯・撮影角度や離隔距離の確保を確認し、本調査の前に同一部位で打診と赤外線の検出状況を比べることが求められています。検出が難しい部位は打診で対応します。つまり赤外線を選んでも、打診がまったく不要になるわけではありません。

巧正はロープアクセスによる打診調査に対応しています。ロープアクセスの作業手順、安全の法令、足場との併用、成立しにくい建物の条件といった工法の詳細と当社の概算は「ロープアクセス打診調査」のページで説明しています(足場との比較は末尾の関連記事をご覧ください)。本記事では制度の解説にとどめます。打診と赤外線の原理の違い、赤外線が苦手な条件、目的別の選び方は外壁タイルの浮き調査方法|打診と赤外線の違いで詳しく解説しています。

八王子の建物 ロープアクセスによる外壁の打診調査(巧正の施工現場)
ロープアクセスによる外壁の打診調査(当社の施工現場)。テストハンマーで直接打診するため、赤外線の日射・気象条件に左右されません

外壁打診調査の費用:公開されている料金の一例と、費用を決める要素

調査費用に国が定めた基準や統計はありません。公開されている料金の一例として、日本耐震診断協会の料金ページでは赤外線調査が外壁1㎡あたり120〜350円(調査面500㎡以上の目安)、ロープアクセスによる打診調査が1㎡あたり240〜450円(1,000㎡以上の目安)とされています(出典:日本耐震診断協会「外壁調査費用」。これらの数値は1団体の料金表の例で、相場の統計ではなく、当社の単価でもありません)。足場を組んで打診する場合は、この調査費に足場の仮設費が別に加わります。当社のロープアクセス打診調査の概算は「ロープアクセス打診調査」のページでご案内しています。

単価の差には裏づけがあります。山形県が公表している県有施設の外壁調査の積算要領では、全面打診法の調査は調査面積50㎡あたり1.0人日、赤外線の現地撮影は2,000㎡あたり1.0人日を標準とし、足場や高所作業車などは実情に応じて別途積み上げるとされています(出典:山形県「県有施設の外壁等劣化調査業務積算要領」令和6年8月)。つまり打診は人手の量、赤外線は機材と解析、足場は仮設費と、費用の構造そのものが違います。

単価だけを見ると赤外線が安く見えますが、赤外線は条件の合わない面を打診で補う必要があり、ロープアクセスは調査と同時に浮き部のマーキングや簡易な是正ができます。総額は次の要素の組み合わせで決まるため、見積の内訳でこれらが分かれているかを確認すると比べやすくなります。

要素費用への影響
調査する外壁の面積全面打診の対象は「歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」。対象面の広さで調査の手間が変わる
調査方法打診(テストハンマー)か赤外線か。赤外線は日射・気象や周辺からの放射熱の条件があり、条件の合わない部位は打診で補う
外壁への近づき方足場・ゴンドラ・高所作業車・ロープアクセスのどれを使うか。足場を組む場合はその費用が大きい
報告書の作成写真付きの調査報告書、損傷の立面図、定期報告に使う書類の作成の有無
建物の高さ・立地階数、道路や隣地との距離、道路使用の手続きの有無、ロープの支点の有無
是正の範囲調査のみか、浮き部の応急処置やピンニングまで含むか
図表:外壁調査の費用を決める要素(当社の整理)

正確な金額は現地確認のうえ、調査・仮設・報告書を分けた内訳でご提示します。調査のみのご依頼、相見積もりの一社としてのご依頼も歓迎です。お電話 042-508-3134(9:00〜18:00/日曜定休)/30秒のかんたん見積もり依頼

高所カメラによるビル外壁の点検・撮影(イメージ)
高所カメラによる外壁の撮影(イメージ)。手の届かない部分の目視や、全面打診の前に対象面の状態を把握する補助になります

浮きが見つかったら:是正工事と「10年」のリセット

全面打診で浮き・剥離が見つかった場合、定期報告では「要是正」として報告し、改善計画を特定行政庁に出す流れになります(八王子市は改善計画書・改善完了報告書の記入例を公開しています)。是正の工法は、タイルの浮きならアンカーピンニングエポキシ樹脂注入か貼り替え、コンクリートの爆裂なら鉄筋の防錆処理と断面修復が基本で、浮きの広さと分布で工法が分かれます。

外壁改修を行うと、そこから再び「10年」のカウントが始まります。調査と是正を別々の業者に頼むと、仮設や調査の重複でコストが膨らみがちなので、全面打診の年と外壁改修の計画を合わせて考えるのが効率的です。3年以内の外壁改修が確実なら、全面打診を省略できる場合があることも、計画を立てるうえで押さえておきたい点です。

八王子の外壁タイルの打診から数量確定までを示した図解
図解:打診→マーキング→図面に記録→数量の確定。調査結果をそのまま是正工事の数量に使えると、調査の重複がなくなります
八王子のビル外壁タイルの張り替え施工(巧正株式会社)
外壁タイルの張り替え施工(当社の施工現場)。是正工事の後は、そこから10年のカウントが再び始まります

マンション・ビルのオーナー様・管理組合様の進め方(巧正の場合)

巧正は、調査から是正工事・保証までを元請けとして一貫して管理します。定期報告の対象建物でも対象外の建物でも、進め方は同じです。

  1. 対象の確認:所在地の特定行政庁の一覧で、用途・階数・延べ面積から対象かどうかを確認。不明な場合は現地調査の際にあわせて整理します
  2. 履歴の整理:竣工・外壁改修・前回の全面打診の年を整理(10年カウントの起点)
  3. 対象面と調査方法の選定:配置図で「歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」を整理し、立地・高さ・外壁仕様からロープアクセス・赤外線・足場を比較
  4. 調査の実施・報告書:写真と、浮きの位置を図面に記録した調査報告書をお渡しします。定期報告の報告書作成・提出は一級・二級建築士または特定建築物調査員の業務なので、お客様側の建築士・管理会社と調査結果を共有して進められる形にします
  5. 是正計画:浮きが見つかった場合は緊急度に応じた応急処置と、外壁改修の計画に合わせた是正の見積をご提案します

調査の進め方と報告書の見本は「巧正の無料建物診断」で公開しています。建物診断は無料で、契約の義務はありません。

よくあるご質問

Q1. マンションは12条点検(定期報告)の対象ですか

A. 特定行政庁によります。東京都・八王子市の一覧では、共同住宅は「F≧5階かつA>1,000㎡」、つまり5階以上の階に共同住宅部分があり(その階の共同住宅部分が100㎡超)、共同住宅部分の床面積の合計が1,000㎡を超えるものが対象で、報告は3年ごと(5月1日〜10月31日)です。横浜市では、表に掲げる用途(店舗・ホテル等)を含まない共同住宅は報告対象になりません。店舗や事務所が入る複合用途の建物は別の条件で対象になることがあるため、所在地の特定行政庁の一覧で確認してください。

Q2. 外壁の全面打診は10年ごとに必ず必要ですか

A. 定期報告の対象建物で、竣工・外壁改修・前回の全面打診から10年を超えた最初の調査で必要になります。3年以内に外壁改修等が行われることが確実な場合や、落下物防護ネットなど歩行者の安全対策を別途講じている場合は省略できるとされています。対象外の建物に法律上の義務はありません。

Q3. 報告しないと罰則はありますか

A. 建築基準法第101条第1項第2号で、第12条第1項の報告をせず、または虚偽の報告をした者は100万円以下の罰金と定められています。特定行政庁からの案内が届かなくても、対象建物には報告義務があります(八王子市Q&A)。

Q4. 全面打診には必ず足場が必要ですか

A. いいえ。ロープアクセスやゴンドラによる打診のほか、令和4年の告示改正で、打診と同等以上の精度を持つ無人航空機による赤外線調査も方法として明確化されました。赤外線は日射・気象や周辺の建物からの放射熱などの条件があり、条件の合わない部位は打診で補います。

Q5. 調査費用はどのくらいですか

A. 国が定めた基準や統計はありません。公開されている料金の一例(日本耐震診断協会の料金ページ)では、赤外線調査が1㎡あたり120〜350円、ロープアクセス打診が1㎡あたり240〜450円(いずれも一定面積以上の目安で、当社の単価ではありません)とされ、足場を組む場合は仮設費が別に加わります。対象面の広さ、調査方法、報告書の内容で変わるため、内訳を分けた見積で比べてください。

Q6. 調査だけの依頼もできますか

A. できます。写真と、浮きの位置を図面に記録した調査報告書をお渡しします。是正工事が必要な場合も、相見積もりのうえでご判断ください。定期報告の報告書作成・提出は一級・二級建築士または特定建築物調査員の業務のため、お客様側の建築士・管理会社と調査結果を共有して進めてください。

Q7. 浮きが見つかったらすぐ工事が必要ですか

A. 緊急度によります。落下の危険が高い部位は撤去やネット養生などの応急処置を先行し、本格的な是正は外壁改修の計画に合わせて進める方法もあります。定期報告では要是正の内容と改善計画を特定行政庁に提出します。

うちの建物は全面打診が必要? 竣工年と外壁の写真で見立てます

建物の所在地・階数・延べ面積、竣工年と外壁改修の時期、外壁の写真(道路に面した面の全体と、タイルや目地の気になる箇所)をお送りください。定期報告の対象になりそうか、全面打診の年にあたるか、どの調査方法が合いそうかを担当者からご連絡します。最終的な対象の判断は所管の特定行政庁の確認が必要です。現地調査は無料で、契約の義務はありません。

● LINEで写真を送る:巧正の公式LINE

● フォームで依頼する:30秒のかんたん見積もり依頼(写真はこちらからのご連絡後にお送りください)

● お電話:042-508-3134(9:00〜18:00/日曜定休)
巧正株式会社/東京都知事許可(般-7)第161006号/〒192-0045 東京都八王子市大和田町6-19-8 ウィングマンション205号

出典・参考資料

執筆・監修:巧正株式会社 施工管理部(外壁診断士・2級建築施工管理技士補(仕上げ)在籍)|累計1,000件超の施工実績。本記事の制度・対象・罰則は国土交通省・東京都・八王子市・横浜市・札幌市の公表内容と建築基準法にもとづき、費用は公開されている料金の一例と山形県の積算要領を参照して作成し、2026年10月11日に内容を確認しています。対象建物の指定や報告時期は特定行政庁ごとに異なり、変わることがあります。個別の建物の判断は、所管の特定行政庁または建築士にご確認ください。

あわせて読みたい

▶ 中規模〜大規模の建物修繕(マンション・アパート・ビル・工場)を検討中の管理組合・オーナー様は、中規模・大規模物件の大規模修繕(総合案内)もご覧ください。

🧗 もっと詳しく:ロープアクセス工法とは?

足場を組まずに高所を修繕する工法です。下がるのは足場に関わる費用の分まで。稼働中の工場・営業中の店舗・入居者への騒音配慮が必要な賃貸でも対応できます。「ロープ高所作業特別教育」を修了した協力職人と組み、当社が元請けとして工程・安全・品質を監理します。

➜ ロープアクセス工法の詳細を見る
ビル外壁の打診調査・12条点検ガイドのアイキャッチ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次