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マンション大規模修繕の談合とは?手口と管理組合ができる7つの自衛策

2026年6月、マンションの大規模修繕工事の受注をめぐって、公正取引委員会が施工会社と設計コンサルタントに独占禁止法違反(不当な取引制限)で処分を出す方針だと各社が報じました。理事会や修繕委員会で「うちは大丈夫なのか」という話題が出た管理組合も多いはずです。この記事では、まずいま何がどこまで確定していて、何がまだ確定していないのかを整理したうえで、報じられた手口の構造と、管理組合が明日からできる自衛策を、八王子で元請けとして修繕を請け負う立場から解説します。

先に結論

2026年6月に報じられたのは「排除措置命令を出す方針」であり、2026年9月3日時点で公正取引委員会の正式な発表は確認できません。処分が確定したかのように書いている記事もありますが、現時点では報道段階です。そのうえで管理組合が今すぐできる自衛は3つ、①選定基準を先に決めて記録に残す ②見積を「一式」ではなく部位別の数量で出させる ③発注方式そのものを比べ直すです。談合は「悪い業者を見抜く」問題ではなく、比較できない状態を放置しないという仕組みの問題です。

執筆:巧正株式会社 施工管理部(東京都八王子市/東京都知事許可(般-7)第161006号)。報道内容は2026年9月3日時点で確認できる範囲を記載し、公正取引委員会の正式発表が出た場合は本記事を更新します。自衛策の部分は、当社が実際にお受けした相見積もり・セカンドオピニオンの依頼をもとにしています。

目次

2026年6月に報じられた大規模修繕の談合とは【事実関係の整理】

報じられている内容を、確定していることと確定していないことに分けて整理します。ここを曖昧にしたまま議論を始めると、理事会で結論が出せなくなります。

項目報じられている内容2026年9月3日時点の状態
対象の工事マンションの大規模修繕工事の受注報道各社で一致
疑われている違反独占禁止法違反(不当な取引制限=談合)報道各社で一致
対象の社数施工会社は36社・38社・40社など媒体により幅がある/設計コンサルタント2社数字は確定していない
処分の内容排除措置命令・課徴金納付命令を出す「方針」「方針」の段階
公正取引委員会の発表公式サイトの排除措置命令等の一覧に該当の掲載を確認できず
表①:報じられた内容と、2026年9月3日時点で確認できる状態の対照

つまり「命令が出た」と書くのは、2026年9月3日時点では正確ではありません。当社が公正取引委員会の公表資料を確認した限り、該当する排除措置命令は掲載されていませんでした。社数についても媒体ごとに数字が異なっており、確定値として扱える段階ではありません。

ただし、管理組合にとって重要なのは処分が確定したかどうかではありません。こうした報道が出るということは、談合が成立しうる構造が業界に存在しているということです。管理組合が向き合うべきなのはそちらです。

なぜ大規模修繕で談合が起きるのか|3つの構造要因

大規模修繕は、他の買い物と比べて次の3つの条件がそろいやすい工事です。

  1. 発注者が素人であることが前提になっている。理事は輪番制で、多くの場合は初めての大規模修繕です。任期は1〜2年で、知見が組合内に蓄積しません。
  2. 金額が大きく、頻度が低い。数千万円から数億円規模の工事を12年前後に一度しか発注しないため、相場観を持ちにくい状態が続きます。
  3. 専門家に判断を委ねる構造がある。仕様書づくりから業者選定までを外部の設計コンサルタントに任せると、管理組合はその判断の妥当性を検証する材料を持ちません。
八王子の大規模修繕|管理組合・設計コンサルタント・施工会社の関係と談合が成立する構造の図解
大規模修繕で談合が成立する構造(図解)。報道内容をもとに関係を整理したもので、処分の確定を示すものではありません

本来、設計コンサルタントは管理組合の側に立って施工会社をチェックする役割です。ところが報道されているのは、そのチェック役が施工会社の側とつながっていたという構図です。チェックする人とされる人が同じ方向を向いてしまうと、管理組合の側からは何も見えなくなります。

報じられた手口|設計コンサルタントが主導する型

報道や、過去に国土交通省が公表した実態調査で指摘されてきた手口には、いくつかの型があります。以下は報道および公的な注意喚起で挙げられてきた内容の整理であり、特定の企業について当社が事実を確認したものではありません。

  • 受注予定者の事前内定:公募や見積依頼を出す前に、どの会社が受注するかを決めておく。
  • 当て馬の見積(ダミー見積):受注させたくない会社に、あえて高い金額で見積を出してもらい、競争があったように見せる。
  • 応募条件の恣意的な設定:「同規模の実績◯件以上」「自己資本◯億円以上」など、特定の会社しか通らない条件を募集要項に入れる。
  • 見積書の代行作成:コンサルタント側が施工会社の見積書の中身を実質的に作り、金額の並びをコントロールする。
  • バックマージン:受注した施工会社から、コンサルタントへ紹介料・協力金などの名目で金銭が渡る。

この5つに共通しているのは、どれも「管理組合からは正常に見える」ように作られている点です。3社から見積が出そろい、金額に差があり、選定委員会も開かれている。手続きの見た目は整っています。だからこそ、手続きの形ではなく中身が比較可能かどうかを見る必要があります。

設計監理方式が「悪」なのではない|方式ごとの構造の違い

報道を受けて「設計監理方式は危ない」という受け止め方が広がっていますが、これは正確ではありません。設計監理方式そのものは、第三者がチェックするという合理的な仕組みです。問題は方式の優劣ではなく、リスクの出どころが方式によって違うことです。

八王子の大規模修繕|設計監理方式と責任施工方式の商流を比較した図解
設計監理方式と責任施工方式の商流の違い(図解)。どちらが優れているかではなく、注意すべき点が違います
比較項目設計監理方式責任施工方式
チェック役設計コンサルタント(第三者)管理組合自身
費用の構造工事費+設計監理料(工事費の3〜7%程度が一般的)工事費のみ
注意すべき点コンサルタントと施工会社の利益相反が外から見えにくい比較・検証を組合側で行う必要がある
責任の所在設計と施工で分かれる施工会社に一本化される
向いているケース大規模・複雑な工事、組合に専門知識がない場合仕様が比較的明確な工事、信頼できる元請けがある場合
表②:設計監理方式と責任施工方式の比較

どちらの方式にも、注意すべき点があります。重要なのは「うちの管理組合はどちらの弱点を引き受けられるか」を理事会で言語化しておくことです。発注方式ごとの違いは責任施工方式と設計監理方式を10項目で比較した記事で詳しく整理しています。

談合が起きると管理組合はいくら損をするのか

談合による損失は、単に「工事費が高くなる」だけではありません。管理組合にとっては次の3つの形で影響が出ます。

  • 修繕積立金の余分な流出:競争が働かなければ金額は下がりません。仮に総額1億円の工事で本来より1割高い金額で契約すれば、1,000万円が次回工事の原資から失われます。
  • 次回工事への影響:積立金が想定より減れば、次の12年後に一時金徴収や借入れを検討することになります。損失は今回で終わりません。
  • 工事内容の縮小:予算が先に決まっている場合、金額を維持するために工事範囲や仕様が落とされることがあります。金額は変わらないので、組合からは気づきにくい形です。

金額の水増しよりも問題なのは、3つ目です。単価が高い分を、下地補修の数量や塗装の回数を減らすことで吸収されると、見積書の総額だけを見ていても発見できません。だからこそ、次のセクションで説明する「数量が書かれているか」が効いてきます。

【施工会社の視点】談合が「成立してしまう」3つの条件

ここからは、見積を出す側から見た話です。当社は八王子で元請けとして修繕を請け負っており、相見積もりの依頼も日常的にお受けしています。その立場から言うと、談合が成立するかどうかは、管理組合が出す依頼の形でかなり決まります

条件1:候補となる会社が事前にわかっている

誰が見積を出すのかが事前に共有されていれば、事前の調整は可能になります。逆に、管理組合が独自に1社を候補に加えるだけでも、調整の前提は崩れます。コンサルタントの推薦リストとは別に、組合が自分で探した会社を1社入れておくことには意味があります。

条件2:見積が「一式」表記で、数量が書かれていない

これが最も大きい条件です。「外壁補修一式 ◯◯円」「下地補修一式 ◯◯円」という書き方では、何をどれだけやるのかが読めません。数量が書かれていない見積は、金額を並べても比較になりません。比較できない状態は、そのまま調整の余地になります。

実際に当社が相見積もりでお受けした八王子市内のマンションの案件では、管理組合側が用意した仕様書に部位ごとの数量が明記されていました。シーリングの打替えと増打ちがそれぞれ「206.0m」「103.5m」、ある部位の補修が「36ヶ所」といった形です。ここまで書かれていれば、各社の見積は同じ土俵に乗り、単価の違いだけを見れば済みます。

数量が確定できない項目(下地補修など、足場を組んで調査しないと数が出ない部分)については、単価と概算数量を出したうえで「実測精算」と明記するのが望ましい形です。これなら、後から数量が増減しても金額の根拠が追えます。

条件3:選定基準が非公開で、後から検証できない

「総合的に判断した結果、A社に決定しました」という議事録しか残っていない場合、その判断が妥当だったのかを後から検証できません。逆に、価格・実績・保証・体制の配点を先に決めて公開しておけば、結論が動かしにくくなります。

管理組合ができる7つの自衛策

前提として、選定に入る前に長期修繕計画書の見方を理事会で共有しておくと、金額の妥当性を議論する土台ができます。計画に数量と単価が入っていれば、出てきた見積をその場で検算できます。

ここまでの内容を、管理組合が実際に行動できる形にまとめます。すべてをやる必要はありません。1〜3だけでも、見積の比較可能性は大きく変わります

八王子の大規模修繕|管理組合ができる7つの談合自衛策のチェックリスト図解
管理組合ができる7つの自衛策(図解)。業者を疑うのではなく、仕組みで守るという考え方です
#対策着手の難易度効果
1選定基準(配点)を募集前に文書化して公開する
2見積を部位別の数量で出させる(一式表記を認めない)
3相見積もりは全社同一の仕様書で依頼する
4コンサルタントに施工会社との資本・取引関係の申告を求める
5工事請負契約に談合違約金の特約条項を入れる
6選定過程(誰がどの理由で選んだか)を議事録に残す
7出そろった見積を利害関係のない第三者に見せる
表③:7つの自衛策と、着手の難易度・効果の目安

5の談合違約金条項は、公共工事の契約書では標準的に用いられている考え方です。民間のマンション工事でも、契約書に「談合の事実が認定された場合は請負代金の◯%を違約金として支払う」といった条項を入れることは可能です。導入にあたっては、契約書の作成段階で管理会社や専門家に相談してください。

7については、当社でも他社の見積書を無料で拝見しています。詳しくは大規模修繕のセカンドオピニオンをご覧ください。業者選びの基準そのものは失敗しない業者選び7つのチェックポイントにまとめています。

「おかしいかもしれない」と感じたときの確認手順

すでに選定が進んでいる段階で違和感がある場合、感情的に業者を疑うより、確認できる事実を1つずつ潰していくほうが早く決着します。次の表の順で確認してみてください。

兆候確認すること確認の方法
各社の見積の総額が不自然に近い内訳の数量と単価が各社で揃っているか部位別の数量欄を横に並べて比較する
見積が「一式」ばかり数量の内訳を出せるか各社に数量内訳の追加提出を依頼する
候補業者がすべてコンサルタントの推薦組合が独自に選んだ会社が1社も入っていないか推薦リスト外の会社に1社見積を依頼する
応募条件が厳しすぎるその条件が工事の内容に照らして必要か条件の根拠を書面で説明してもらう
選定理由が「総合的に判断」だけ配点や評価表が存在するか評価表の開示を理事会として求める
特定の会社を強く推される推薦者と施工会社の資本・取引関係利益相反の有無を書面で申告してもらう
表④:違和感を感じたときの兆候別チェック表

この6つを確認して問題がなければ、多くの場合それは正常な選定です。逆に、書面での説明を断られる項目があった場合は、その項目を理事会の議事録に残しておいてください。記録があること自体が抑止になります。

なお、候補業者を増やす目的で一括見積もりサイトを使う場合は、その仕組みを理解したうえで使ってください。一括見積もりサイトの仕組みとメリット・デメリットで、手数料の実態と比較できる相見積もりの取り方を整理しています。

談合の疑いが強いときの相談先

確認しても説明が得られず、談合の疑いが強いと判断した場合の相談先は次のとおりです。ここは中立に情報のみ記載します。

  • 公正取引委員会:独占禁止法違反被疑事実に関する報告・申告の窓口が設けられています。匿名でも受け付けられますが、具体的な事実(いつ・誰が・何をしたか)があるほど扱われやすくなります。
  • 弁護士:契約前であれば契約書の条項、契約後であれば損害賠償請求の可否について相談できます。マンション管理や建設に詳しい弁護士を選ぶことが重要です。
  • マンション管理士:管理組合運営の立場から、選定手続きの妥当性について助言を受けられます。
  • 各自治体のマンション管理相談窓口:東京都や八王子市など、自治体が管理組合向けの相談窓口を設けている場合があります。

なお、談合にあたるかどうかの法的な判断は当社では行えません。契約や損害賠償に関わる判断が必要な場合は、必ず弁護士にご相談ください。

巧正の考え方|相見積もり歓迎・セカンドオピニオン無料

当社は八王子を拠点に、創業12年・累計1,000件超の実績で修繕工事を元請け一貫体制でお受けしています。談合という話題に対する当社の立場は単純で、比較していただいたほうが困らないというものです。

  • 相見積もりを歓迎しています。他社と並べて比較していただくことを前提に、部位別の数量を明記した見積書をお出しします。
  • 他社見積のセカンドオピニオンを無料でお受けしています。当社にご発注いただかない前提でのご相談でも構いません。
  • 元請け一貫体制です。調査・提案・施工・保証までを当社が責任を持って行います。
  • 保証を書面でお出しします。屋上防水は平場10年・立上り5年、外壁塗膜は10年です。

実際にお受けした案件では、管理組合様が用意された仕様書に部位別の数量が明記されていたため、各社の見積が同じ条件で並び、単価と工程の違いだけで判断できる状態になっていました。比較できる形の依頼を出せば、業者の側は逃げ場がなくなります。これが管理組合にとって最も確実な自衛策だと考えています。

管理組合様向けの対応内容は管理組合のマンション大規模修繕のページにまとめています。

よくあるご質問

Q. 報道された処分は、もう確定しているのですか?

A. 2026年9月3日時点では確定していません。報じられたのは公正取引委員会が「排除措置命令を出す方針」という内容で、公正取引委員会の公表資料に該当の命令は確認できませんでした。正式発表があり次第、本記事を更新します。

Q. 設計監理方式はやめたほうがよいのですか?

A. 方式そのものに問題があるわけではありません。第三者がチェックする仕組みは合理的です。注意すべきなのは、コンサルタントと施工会社の関係が外から見えない点なので、利益相反の申告を求める、組合が独自に1社を候補に加える、といった対応で補えます。

Q. すでに業者が決まっていますが、今からできることはありますか?

A. 契約前であれば、見積の数量内訳の提出を求めること、選定の評価表の開示を求めることができます。契約後であっても、工事の数量と実施内容が見積どおりかを確認することは可能です。判断に迷う場合は第三者に見積を見てもらってください。

Q. 見積の金額に差があれば、談合ではないと考えてよいですか?

A. 金額の差だけでは判断できません。報じられている手口には「あえて高い金額の見積を出させて競争があったように見せる」という型が含まれています。差があるかどうかより、各社が同じ数量・同じ仕様で見積もっているかを確認してください。

Q. 管理会社に任せていれば大丈夫ですか?

A. 管理会社が発注をとりまとめる方式もありますが、その場合も選定基準の文書化と数量内訳の確認は管理組合が行うべき部分です。任せきりにせず、どういう基準で誰を選んだかを議事録に残す運用にしてください。

Q. セカンドオピニオンを頼むと、その会社に発注しないといけませんか?

A. その必要はありません。当社の場合、他社の見積書を拝見してのご相談は無料でお受けしており、ご発注を前提としていません。数量の書き方や工程の回数など、比較の観点をお伝えするところまでで完結して構いません。

八王子・多摩で大規模修繕をご検討の管理組合様へ

談合という言葉が出てくると、どうしても「悪い業者を見抜かなければ」という話になりがちです。ですが、管理組合が本当にやるべきなのは、比較できない状態を放置しないことだけです。選定基準を先に決め、数量を書かせ、同じ仕様書で見積を取る。この3つで、調整の余地はかなり小さくなります。

手元の見積書が比較できる形になっているかどうか、判断がつかない場合はお気軽にご相談ください。他社様の見積書についてのご相談も無料でお受けしています。

見積書のセカンドオピニオン、無料でお受けしています

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※本記事は2026年9月3日時点で確認できる報道および公表資料をもとに作成しています。公正取引委員会の正式発表があった場合は、内容を更新します。法的な判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。

八王子・多摩の大規模修繕|マンション大規模修繕の談合とは?手口と管理組合の自衛策

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