長寿命化の大規模修繕で固定資産税を3分の1減額|八王子市の手続き
八王子市には、長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションの固定資産税を減額する制度があります。ただし申告できるのは工事が完了した日から3か月以内で、これを過ぎると制度そのものが使えません。八王子を拠点にマンション・ビルの修繕を元請けとして手がける巧正株式会社が、要件・必要書類・工事の組み方の注意点を、八王子市の公表資料にもとづいて整理しました。
結論:外壁・床防水・屋根防水の3つが揃った工事を、完了から3か月以内に申告する
減額されるのは工事が完了した年の翌年度分の固定資産税で、居住用専有部分の3分の1が減額されます(一戸あたり100平方メートル相当分まで)。都市計画税は減額されません。対象になるのは2027年3月31日までに工事が完了したものに限られます。マンション側の要件は「築20年以上・総戸数10戸以上」「居住用専有部分を有する」「過去にも長寿命化工事を行っている」「管理計画認定マンション、または市の助言・指導を受けた管理組合」の4つ。これとは別に、今回の工事で外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つすべてが完了していることが求められます。つまり工事の範囲をどう組むかで、使えるか使えないかが変わります。
お手元の見積に外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つが入っているか、工種ごとに突き合わせます(無料・相見積もり歓迎)/お電話 042-508-3134(9:00〜18:00/日曜定休)
制度の中身は「翌年度分を3分の1減額」
まず減額の規模を押さえます。ここを誤解したまま工事の判断をすると、期待とずれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の税 | 固定資産税のみ(都市計画税は対象外) |
| 対象の部分 | 居住用専有部分(専有部分の床面積の2分の1以上が居住用であるもの)に係る固定資産税。土地は対象外 |
| 対象の床面積 | 一戸あたり100平方メートル相当分まで |
| 減額の割合 | 3分の1 |
| 減額の期間 | 工事が完了した年の翌年度分に限る(1年分のみ) |
| 工事の対象期間 | 2023年4月1日から2027年3月31日までに長寿命化工事が完了したもの |
| 適用の回数 | 1回限り |
減額されるのは1年分だけです。工事費が戻ってくる制度ではありません。対象は居住用専有部分(専有部分の床面積の2分の1以上が居住用であるもの)に係る固定資産税に限られ、店舗など居住用でない専有部分や土地は含まれません。実際にいくら下がるかは各戸の評価額によって変わります。金額については八王子市役所 財務部資産税課(家屋担当)にお問い合わせください。

対象になるマンションの4つの要件
マンション側の要件は4つです。どれか1つでも欠けると対象になりません。
| 要件 | 内容 | 確認する人 |
|---|---|---|
| 築年数と規模 | 新築された日から20年以上経過し、総戸数10戸以上 | 管理組合(設計図等で確認) |
| 居住用専有部分 | 専有部分の床面積の2分の1以上が居住用である専有部分を有すること | 管理組合 |
| 過去の長寿命化工事 | 過去に外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のすべてを行っていること | 管理組合+工事会社(記録の確認) |
| 管理体制 | 管理計画認定マンション、または市から長期修繕計画の助言・指導を受けた管理組合に係るマンション | 管理組合+八王子市住宅支援課 |
3つ目が見落とされやすいところです。八王子市の資料では「過去に長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事及び屋根防水工事の全ての工事)を行っていること」と書かれています。今回の工事とは別に、過去の実施履歴が問われます。3つが1回の工事で行われている必要があるのか、別々の時期でもよいのかは資料に記載がありません。前回までの工事記録を確認したうえで、市の窓口にご確認ください。

管理計画認定と助言・指導のどちらかが必要
4つ目の要件は、大規模修繕の工事そのものとは別に、管理組合として先に進めておく必要がある部分です。八王子市の資料では次の2つのルートが示されています。
- 管理計画認定マンション……市の認定を受けた管理計画認定マンションのうち、2021年9月1日以降に修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げたもの
- 助言・指導を受けた管理組合……市から長期修繕計画に係る助言または指導を受けて、長期修繕計画の作成または見直しを行い、長期修繕計画が一定の基準に適合することとなったもの
どちらのルートも証明書の発行機関は八王子市住宅支援課で、工事会社が代わりに取得できるものではありません。助言・指導のルートは長期修繕計画の作成または見直しが前提になっているため、計画の見直しを検討している段階で住宅支援課に相談先を確認しておくと、後の手続きと地続きになります。長期修繕計画そのものの見方・作り方は「長期修繕計画書の見方・作り方|国交省ガイドライン準拠の作成6ステップ」で整理しています。
長寿命化工事とは何を指すのか
ここが工事の組み方に直結します。国の制度としてはマンション長寿命化促進税制と呼ばれるもので、八王子市の資料では、今回の工事として次の1〜3のすべてが完了していることが要件とされています。
- 外壁塗装等工事……マンションの建物の外壁について行う修繕または模様替
- 床防水工事……直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分について行う防水の措置を講ずるための修繕または模様替
- 屋根防水工事……建物の屋上部分、屋根、ひさしその他これに類する部分について行う防水の措置を講ずるための修繕または模様替
1は外壁、2は廊下・バルコニー等の床、3は屋上・屋根と、部位で区切られているのが特徴です。2と3は「防水の措置を講ずるための修繕または模様替」と書かれています。外壁だけ、屋上だけ、という工事では要件を満たしません。

3つのうち1つ欠けると使えない
当社が大規模修繕の見積のご相談を受けるなかでは、予算を圧縮するときに屋上防水や廊下・バルコニーの床防水を次回に回す、という検討がよく出てきます。ところがこの制度では、1〜3のいずれかが欠けた時点で要件を満たさなくなります。
- 屋上防水を次回に回す……3が欠けるため要件を満たさない
- 廊下・バルコニーの床防水を見送る……2が欠けるため要件を満たさない
- 工期を分けて2と3を翌年度に回す……どの時点が「工事の完了」になるかで対象年度と申告期限が変わるため、分割を検討する場合は市の窓口に確認が必要
つまり見積の工事範囲を決める段階で、この制度を使うかどうかを先に決めておく必要があります。着工後や完了後に範囲が足りていないと分かっても、そこから取り返すことはできません。見積書の読み方そのものは「大規模修繕の見積書の見方」で整理しています。

申告は完了から3か月以内
八王子市の資料では、申告期間は長寿命化工事が完了した日から3か月以内と定められています。工事完了後に制度を知った場合、この3か月の中で証明書をそろえて提出しなければなりません。
必要書類のうち複数は、登録された建築士事務所に属する建築士、マンション管理士、住宅瑕疵担保責任保険法人、八王子市住宅支援課による発行と定められています(次の表のとおり)。自分たちだけで用意できる書類ではないため、誰に発行を依頼するかを早い段階で決めておくことになります。

必要書類と、それを出せる人
八王子市の資料では、必要書類はルートによって次のように示されています。発行機関が指定されている点に注意してください。
| 書類 | 発行機関 | 管理計画認定 | 助言・指導 |
|---|---|---|---|
| 固定資産税減額適用申告書 | 八王子市の様式(区分所有者ごと) | 必要 | 必要 |
| 総戸数を確認できる書類(設計図等) | 管理組合の保管資料 | 必要 | 必要 |
| 大規模の修繕等証明書 | 登録された建築士事務所に属する建築士、または住宅瑕疵担保責任保険法人 | 必要 | 必要 |
| 過去工事証明書 | 登録された建築士事務所に属する建築士、またはマンション管理士 | 必要 | 必要 |
| 管理計画の認定通知書(変更認定通知書)の写し | 八王子市住宅支援課 | 必要 | — |
| 修繕積立金引上証明書 | 登録された建築士事務所に属する建築士、またはマンション管理士 | 必要 | — |
| 助言・指導内容実施等証明書 | 八王子市住宅支援課 | — | 必要 |
申告書は区分所有者ごとの提出が原則ですが、管理組合が取りまとめる場合は証明書と添付書類は全体で1部でよいとされています。さらに、管理組合の管理者等から書類の提出があり要件に該当すると認められるときは、区分所有者からの申告書がなくても減額措置が適用される、と記載されています。全戸から申告書を集めることが前提の制度ではありません。

証明書を発行できるのは誰か
誤解を避けるために先に書きます。「大規模の修繕等証明書」の発行機関として指定されているのは、登録された建築士事務所に属する建築士、または住宅瑕疵担保責任保険法人です。過去工事証明書と修繕積立金引上証明書は、建築士またはマンション管理士とされています。
巧正株式会社は建築士事務所ではありません。当社の保有資格は外壁診断士、2級建築施工管理技士補(仕上げ)で、これらの証明書の発行主体にはなりません。どこに発行を依頼するかは、管理組合が市の窓口や設計監理者に確認して決めることになります。
当社がお引き受けするのは、工事そのものと、工事の記録を残すことです。
- 工事範囲の突き合わせ……外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つが今回の工事に含まれているかを、見積の工種ごとに確認する
- 仕様書と数量……どの部位にどの工法で、どれだけの面積を施工したかを書面で残す
- 工程ごとの写真台帳……下地処理前・補修後・各層の施工状況を部位別に撮影して整理する
- 完了日の明確化……申告期限の起点になるため、引き渡し日を書面に残す
- 過去工事の記録の洗い出し……前回の大規模修繕でどこまで施工したかを、残っている資料から整理する
これらは制度の有無にかかわらず大規模修繕で残すべき記録ですが、要件の確認や証明書の作成を進める際の材料にもなります。どの資料が必要になるかは発行機関によって異なりますので、依頼先に直接ご確認ください。
他の減額措置とは重複できない
八王子市の資料では、次の点が注意事項として挙げられています。
- この減額措置の適用は1回限り
- 住宅耐震工事、熱損失防止(省エネ)改修工事、バリアフリー改修工事などの他の固定資産税の減額措置とは重複して適用できない。ただし別の年にそれぞれ受けることは可能
- 土地についての減額はない
- 区分所有家屋ではないマンションは対象外
最後の点は賃貸マンションを1棟で所有しているオーナー様に関わります。区分所有ではない1棟所有の賃貸マンションは、この制度の対象になりません。賃貸物件の修繕の考え方は「賃貸マンション・アパートの大規模修繕」で整理しています。
工事の進め方に落とし込むと
制度を使う前提で大規模修繕を進める場合、通常の段取りに加えて次の判断が入ります。
| 段階 | この制度のために決めること |
|---|---|
| 長期修繕計画の見直し | 管理計画認定を取るか、市の助言・指導を受けるかを決め、住宅支援課に相談する |
| 現地調査・仕様決定 | 外壁・廊下床・屋上の3つを今回の工事範囲に入れる。過去の工事履歴も確認する |
| 見積・工事範囲の決定 | 予算の都合で防水を外すと要件を満たさなくなることを、理事会・総会で共有しておく |
| 契約前 | 証明書の発行を誰に依頼するかを決めておく |
| 施工中 | 部位別・工程別の写真台帳と仕様書を残す |
| 完了・引き渡し | 完了日を確定する。ここから3か月以内に申告 |
お手元の見積に「外壁・床防水・屋根防水の3点」が入っているか、工種ごとに突き合わせてお伝えします。無料で見てもらう/お電話 042-508-3134(9:00〜18:00/日曜定休)
八王子市の窓口と提出先
手続きの窓口は2つに分かれます。混同しやすいので整理しておきます。
- 申告書の提出先・この制度の問い合わせ先……八王子市役所 財務部資産税課(家屋担当)2階8番窓口/〒192-8501 東京都八王子市元本郷町三丁目24番1号/電話 042-620-7223・042-620-7356
- 管理計画の認定通知書・助言指導内容実施等証明書の発行……八王子市住宅支援課
申告書の様式(PDF・エクセル)は八王子市のページからダウンロードできます。証明書の最新様式は国土交通省のページで確認するよう案内されています。
制度の内容や様式は改正されることがあります。発注前の最終確認は、八王子市の窓口または税理士などの専門家にご相談ください。本記事は2026年7月1日更新時点の八王子市の公表内容にもとづいています。
巧正の対応
巧正株式会社は、八王子を拠点に東京・神奈川・埼玉・山梨でマンション・ビル・工場の修繕に対応しています。調査から工法の比較提案、施工、記録の提出まで元請けとして一貫してお引き受けします。
- 見積の突き合わせ……他社の見積でも、外壁塗装等・床防水・屋根防水の3点が工事範囲に入っているかを工種ごとに確認します
- 比較見積……3点をすべて含む案と、部分的に絞る案を分けて提示し、工事範囲と金額を並べて比較できるようにします
- 写真台帳と仕様書……部位別・工程別の記録を書面で残します
- 理事会・総会での説明……説明資料の作成と住民説明会への同席に対応します
- 保証……屋上防水は平場10年・立上り5年、外壁塗膜は最長10年。引き渡し後は1年・3年・5年・10年の定期点検に伺います(保証内容は工事範囲・仕様により異なります)
- 東京都知事許可(般-7)第161006号/創業2014年4月・2024年法人化/八王子市内 累計1,000件超
大規模修繕全体の進め方は「大規模修繕とは?費用・周期・流れ」、管理組合としての進め方は「管理組合向けの大規模修繕サポート」でご案内しています。

よくあるご質問
Q1. 工事が終わってから制度を知りました。まだ間に合いますか
A. 申告期間は工事が完了した日から3か月以内と定められています。3か月を過ぎていない場合は、まず八王子市の資産税課にお問い合わせください。申告にあたっては、築20年以上・総戸数10戸以上、今回と過去の長寿命化工事、管理計画認定または市の助言・指導という要件をすべて満たしていることと、指定された発行機関による証明書が必要になります。
Q2. 外壁塗装だけの工事でも対象になりますか
A. なりません。今回の工事として外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事の3つすべてが完了していることが要件です。廊下やバルコニーの床防水、屋上の防水を含まない工事では要件を満たしません。
Q3. いくら下がりますか
A. 居住用専有部分に係る固定資産税の3分の1が減額されます(一戸あたり100平方メートル相当分まで、工事完了年の翌年度分のみ)。税額がゼロになるわけでも、3分の1になるわけでもありません。金額は各戸の評価額によって変わるため、具体的な額は八王子市の資産税課にお問い合わせください。都市計画税は減額されず、土地も対象外です。
Q4. 区分所有者全員に書類を書いてもらう必要がありますか
A. 申告書は区分所有者ごとの提出が原則ですが、管理組合が取りまとめる場合、証明書と添付書類は全体で1部でよいとされています。また管理組合の管理者等から申告書類の提出があり要件に該当すると認められるときは、区分所有者から申告書の提出がなかった場合でも減額措置が適用されると八王子市の資料に記載されています。
Q5. 賃貸マンションを1棟所有しています。使えますか
A. 区分所有家屋ではないマンションは対象外とされています。1棟所有の賃貸マンションはこの制度の対象になりません。ただし工事そのものの考え方(外壁と防水をまとめて扱うか、分割するか)は賃貸でも同じですので、修繕の組み立てはご相談ください。
Q6. 証明書は巧正に出してもらえますか
A. いいえ。「大規模の修繕等証明書」の発行機関は登録された建築士事務所に属する建築士、または住宅瑕疵担保責任保険法人と定められています。当社は建築士事務所ではないため発行主体になりません。当社がお引き受けするのは工事と、工事の記録(仕様書・数量・部位別の写真台帳・完了日)を書面で残すことです。
Q7. 耐震改修の減額措置と両方受けられますか
A. 同じ年に重複して適用することはできません。住宅耐震工事、省エネ改修工事、バリアフリー改修工事などの減額措置とは重複適用不可とされています。ただし別の年にそれぞれ受けることは可能です。どちらを先にするかは金額の比較になりますので、市の窓口または税理士にご相談ください。
まとめ
この制度は、工事が終わってから調べる制度ではありません。工事範囲を決める段階と、長期修繕計画を見直す段階の2つで、先に手を打っておく必要があります。
- 翌年度分の固定資産税が3分の1減額、適用は1回限り……都市計画税と土地は対象外
- 工事は2027年3月31日までに完了……制度の対象期間が区切られている
- 外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つすべて……1つ欠けると要件を満たさない
- 過去にも3つの工事履歴が必要……前回までの記録を先に確認する
- 管理計画認定か市の助言・指導のどちらかが必要……証明書の発行は住宅支援課
- 申告は完了から3か月以内……証明書の発行先を早めに決めておく
巧正株式会社は、八王子市内で累計1,000件を超える建物修繕を手がけてきました。見積の工種の突き合わせから、工事と記録の整備までお引き受けします。
執筆・監修:巧正株式会社 施工管理部(外壁診断士・2級建築施工管理技士補(仕上げ)在籍)|八王子市内 累計1,000件超の施工実績。本記事は八王子市公式ホームページ「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに係る固定資産税の減額措置」(2026年7月1日更新)の記載内容にもとづいて作成し、2026年9月11日に内容を確認しています。税額・要件の個別判断は八王子市の窓口または税理士にご相談ください。
この制度を使える工事範囲か、見積を見て確認します
外壁・廊下床・屋上の3点が今回の工事に入っているか、工種ごとに突き合わせてお伝えします。現地調査・お見積りは無料です。他社の見積をお持ちの状態でのご相談、相見積もりの一社としてのご依頼も歓迎します。
無料で相談する/お電話 042-508-3134(9:00〜18:00/日曜定休)
巧正株式会社/東京都知事許可(般-7)第161006号/〒192-0045 東京都八王子市大和田町6-19-8 ウィングマンション205号
